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[I-OR105-06] Semaphorin3E-PlexinD1は冠動脈形成に重要な役割を果たす
キーワード:冠動脈発生、semaphorin、plexin
【要約】近年、細胞系譜追跡技術の発展に伴い冠動脈内皮細胞の起源が次々に明らかにされている。すなわち、心外膜前駆細胞(PEO)、静脈洞(SV)、心内膜、比較的最近発見された大動脈外膜下血管(ASV)が冠動脈内皮の由来として考えられている。しかしながら多種の冠動脈内皮前駆細胞がどのように協調し、冠動脈入口部や末梢血管網を形成するのかはよくわかっていない。我々は、軸索ガイダンス分子であるSemaphorin3E(Sema3E)と受容体であるPlexinD1(PlexD1)が冠動脈発生に重要である事を発見した。Sema3E、PlexD1ノックアウトマウスは入口部高位起始、入口部数的異常、冠動脈走行異常などの様々な冠動脈異常を呈した。これらのノックアウトマウスでは胎生期において大動脈周囲に発達したリンパ管マーカーであるProx1を発現する異常血管網を認め、ASVの異常発達が示唆された。相応し、Sema3Eは大血管平滑筋層に、PlexD1はASVに発現する。こうした知見はSema3E-PlexD1シグナルが冠動脈入口部形成や末梢血管網と入口部の正常な連結に関与し、Sema3E-PlexD1シグナルが正常冠動脈発生に重要である事を示唆する。これらの結果から、より詳細なASVの冠動脈発生における役割が解明される可能性がある。