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[I-OR106-01] 超軟質精密心臓レプリカの医療機器申請のための評価-臨床試験パイロットスタディの結果から
キーワード:手術シミュレーション、3Dプリンター、光造形
[背景]我々は、MSCT 3次元画像から光造形法と真空注型法を組み合わせることにより、切開縫合による手術シミュレーションが可能な軟質ウレタン製の精密心臓レプリを作成してきた。先天性心疾患患者の正確な病態把握と手術成績の向上に寄与するには、その品質および正確性を十分に確保し、医療機器として認可される必要がある。今回は超軟質精密心臓レプリカの正確性および有用性を評価するためのパイロットスタディを完了した。 [対象と方法]心臓レプリカの評価に適したファロー四徴(N=1)、両大血管右室起始(N=7)、完全および修正大血管転位(N=4)、左心低形成を含む大動脈弓異常(N=6)の4疾患群18例。小児循環器医による評価として、心臓レプリカの再現性および診断の有用性、心臓外科医による評価として、再現性、手術シミュレータとしての有用性、手術後の総合評価、以上の各項目を5段階評価で行った。 [結果]対象となる疾患のバリエーションが広く有意差のある定量評価には至らなかったが、超軟質心臓レプリカの再現性は高く、診断補助手段としての評価は高かった。遠隔型DORVにおける2心室修復の判断と心内導管の設定、IAAおよび左HLHSにおける大動脈再建術式の判断などにおいて高い評価を得た。一方、TOFにおけるMAPCAの評価としての有用性は低かった。手術シミュレーションの評価として、境界域の遠隔型DORVで2心室修復が可能となった症例、逆に2心室修復が不可能と判断した症例、肺動脈弁下型DORVで大血管転換術が困難で術式の変更を考慮中の症例など、軟質心臓レプリカを作成することにより手術術式に影響が及ぶ症例が認められた。[結論] 軟質心臓レプリカは、実心臓を良好に再現することが可能であり、DORVの心内修復やHLHSにおける大動脈再建において、手術シミュレータとして有用であることが示唆された。