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[I-OR106-03] ファロー四徴症術後患者の肺動脈弁逆流重症度における経胸壁心エコーでの肺動脈弁逆流パターン分類の意義-MRI所見との比較-
キーワード:Tetralogy of Falot、Pulmonary regurgitation、MRI
【背景】ファロー四徴症(TOF)術後遠隔期における肺動脈弁逆流(PR)は、予後を規定する重要な因子であるが、心エコーによるPR重症度評価法の精度はまだ確立していない。【目的】TOF術後患者の心エコーによるPRの重症度評価法について、MRIによるPRの定量的評価法と比較検討すること。【対象と方法】対象は、MRIと心エコーを同時期に記録したTOF術後患者(Rastelli型手術例を除く)38名(12.9 ±5.6才)。肺動脈弁部ドプラ血流におけるPR波形を、ASE分類(JASE 2014;27:111-41)によりMild(Mi), Moderate(Mod), Severe(S)の3型に分類し、MRI のPhase contrast 法から算出された肺動脈弁逆流率(PRF)、および右室容積(RV EDVi)、右室EF(RV EF)と比較した。【結果】ASE 分類によるPR重症度は、Mi (6): Mod (12):S (20)であった。ASE分類各群のMRI-PRF値は、Mi(8.5 ±5%);Mod(33.7 ±8%); S(40.4 ±10%)とMi群とMod群以上とでは分別出来たが、ModとSでは分別は出来なかった。一方MRIでのRVEDVi>140ml/m2の症例は、Mod 8%:S 40%と明らかにS群で高く、逆にMi, Mod群でRVEDVi<140ml/m2の症例は95%であった。同様にRVEF<45%の症例は、Mi (1/6), Mod(1/12), S(8/20)であった。【結語】心エコーによるPR波形分類は、軽症と中等度以上の分別には半定量的評価法として使用できる。またSevereパターンでなければ、TOF術後患者の右室容積や右室EFが保たれていることが推測でき、肺動脈弁置換術適応例の抽出などTOF術後患者の非侵襲的経過観察に有用な方法であると考えられる。