10:10 〜 11:00
[I-OR106-04] 乳幼児における心周期に伴う大動脈径変動と大動脈脈波伝播速度の関係
キーワード:血管機能、大動脈径変動、脈波伝播速度
【目的】
胎児心筋は脆弱であり,前負荷・後負荷に対する予備能が少ないことが知られているが,胎児期における後負荷の有用な指標は確立していない。我々は,本学会で心周期に伴う大動脈径変動が在胎週数とともに減少し,ファロー四徴症などのaortopathyを来す疾患で径変動が少ない事より,血管機能の指標として応用できる可能性を示した。しかし胎児では他の大動脈壁特性を示す指標がなく,大動脈径変動と大動脈壁の“硬さ”の関係性は不明であった。そこで,乳幼児の大動脈径変動と大動脈脈波伝播速度(PWV)の関係を検討することにより,その血管機能の指標としての意味を考察した。
【方法】
当院小児心臓外来にて原疾患のため心エコー検査を行い,血行動態に大きな異常のない2歳未満の児を対象とした。心エコー検査時に(1)B-modeにおける大動脈収縮期最大径(S),大動脈拡張期最小径(D),(2)大動脈弁直上パルスドプラ波形におけるVelocity Time Integral(VTI),(3)大動脈弁直上,下行大動脈の2点における心電図QRS波から大動脈ドプラ波形の立ち上がりまでの時間および2点間の大動脈長を測定,PWVを計算した。一回拍出量(SV)をS,VTIから計算し,一回拍出量あたりの大動脈径変動(S-D/SV)とPWVの関係を検討した。
【結果】
項目の測定を行った55名のうちS-D/SVが測定できたのは51名で,さらにPWVが測定できた37名(月齢0.7-22か月,中央値7.8ヵ月,心室あるいは心房間小短絡15例,軽度肺動脈狭窄5例,川崎病11名,その他6例)を対象とした。S,D,S-Dは月齢と正の相関を有した。PWVは月齢に関係なく200-600cm/sを示した。S-D/SVはD値と正の相関を示したがPWVとDは相関しなかった。S-D/SVとPWVには有意な負の相関を認めた(p=0.025,r=-0.37)。
【結論】
小児においてS-D/SVはPWVと負の相関を示し,S-D/SVは大動脈血管機能を反映していると考えられた。PWV測定が不可あるいは困難な胎児・新生児の血管機能評価の一指標となり得る。
胎児心筋は脆弱であり,前負荷・後負荷に対する予備能が少ないことが知られているが,胎児期における後負荷の有用な指標は確立していない。我々は,本学会で心周期に伴う大動脈径変動が在胎週数とともに減少し,ファロー四徴症などのaortopathyを来す疾患で径変動が少ない事より,血管機能の指標として応用できる可能性を示した。しかし胎児では他の大動脈壁特性を示す指標がなく,大動脈径変動と大動脈壁の“硬さ”の関係性は不明であった。そこで,乳幼児の大動脈径変動と大動脈脈波伝播速度(PWV)の関係を検討することにより,その血管機能の指標としての意味を考察した。
【方法】
当院小児心臓外来にて原疾患のため心エコー検査を行い,血行動態に大きな異常のない2歳未満の児を対象とした。心エコー検査時に(1)B-modeにおける大動脈収縮期最大径(S),大動脈拡張期最小径(D),(2)大動脈弁直上パルスドプラ波形におけるVelocity Time Integral(VTI),(3)大動脈弁直上,下行大動脈の2点における心電図QRS波から大動脈ドプラ波形の立ち上がりまでの時間および2点間の大動脈長を測定,PWVを計算した。一回拍出量(SV)をS,VTIから計算し,一回拍出量あたりの大動脈径変動(S-D/SV)とPWVの関係を検討した。
【結果】
項目の測定を行った55名のうちS-D/SVが測定できたのは51名で,さらにPWVが測定できた37名(月齢0.7-22か月,中央値7.8ヵ月,心室あるいは心房間小短絡15例,軽度肺動脈狭窄5例,川崎病11名,その他6例)を対象とした。S,D,S-Dは月齢と正の相関を有した。PWVは月齢に関係なく200-600cm/sを示した。S-D/SVはD値と正の相関を示したがPWVとDは相関しなかった。S-D/SVとPWVには有意な負の相関を認めた(p=0.025,r=-0.37)。
【結論】
小児においてS-D/SVはPWVと負の相関を示し,S-D/SVは大動脈血管機能を反映していると考えられた。PWV測定が不可あるいは困難な胎児・新生児の血管機能評価の一指標となり得る。