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[I-OR106-05] Fontan術後患者において、Gd-EOB-DTPAを用いた肝臓造影MRIから肝線維化の程度を定量化できるか?
キーワード:Fontan、肝臓、EOB
【背景】Fontan循環においては、体静脈うっ滞や高い中心静脈圧(CVP)によって、肝臓が障害されることは既知である。肝臓を画像上評価する方法として、肝細胞特異性のある造影剤Gd-EOB-DTPA(EOB)を用いたMRI T1強調画像にて、正常肝細胞領域を高信号に、肝線維化領域を低信号に描出する方法が存在するが、肝全体の肝線維化の程度を数値化する方法は未だ確立されていない。【目的】Fontan手術後を中心とした先天性心疾患の遠隔期症例における、EOBを用いた肝臓MRIでの肝線維化の程度を定量化する方法を確立する。【対象】肝臓MRI検査を行ったFontan手術後27例、ファロー四徴症三尖弁閉鎖不全弁置換術後1例、重度肺高血圧1例の計29例(平均11.7歳±7.3歳)。【方法】EOB投与10分後に肝臓全体を、T1強調の横断像にて撮影し、5枚のスライスを抽出した。太い血管を除いた肝実質全体の平均信号値と肝実質の最大信号値の比を出し、これら5枚分の平均値をとった(EOB index)。これを年齢、Fontan術後期間、並びに心臓カテーテル検査により測定されたCVP値・SaO2値、血液肝機能マーカー(血小板数・AST・γGTP・総ビリルビン・ヒアルロン酸・P-3-P・コラーゲン7S)と比較した。【結果】EOB indexは、平均0.75±0.05であった。EOB indexは、CVP・γGTP並びにコラーゲン7Sと負の相関を示した(p=0.05; R2=0.15, p<0.001; R2=0.40, p=0.03; R2=0.19)。【結語】Fontanを代表とする体静脈うっ滞型循環を呈する先天性心疾患において、MRIにおけるEOB indexは肝線維化の程度を数値化する方法として有用である可能性がある。