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[I-OR107-05] Fontan術前後の心臓カテーテル検査に位相差MRI流量分析を組み合わせた正確な血行動態評価
キーワード:大動脈肺動脈側副血行、フォンタン、MRI
【背景】Fontan術(F)前後の血行動態評価のために従来から心臓カテーテル検査(CC)で酸素飽和度測定による流量測定が行われてきたが,大動脈肺動脈側副血行(APC)が存在するためFick原理を適応することに本質的問題がある.【目的】CCの圧測定に位相差MRI流量分析を組み合わせた新法で血行動態評価を行い従来法と比較,APCの臨床経過への影響について検討した.【方法】対象は2009年~2015年に原則同一入院時にCCとMRIを組み合わせて行った101セッション(S)(F前つまりGlenn術(G)後42S,F後59S,60症例,男32例,女28例,月齢32.5(3~361),G後7(0~28)ヶ月,F後29.5(1~300)ヶ月).左右上下肺静脈,左右肺動脈,上行大動脈,下行大動脈,上大静脈,下大静脈で位相差MRI流量分析,肺血流量Qp=肺静脈合計,体血流量Qs=体静脈合計,APC=直接法(肺静脈合計-肺動脈合計)と間接法(上行大動脈-体静脈合計)の平均,新法による肺血管抵抗(Rp)=肺動脈圧勾配(CC)/Qp(MRI)で算出した.肺血管拡張薬投与,在宅酸素療法等問題有31S対問題無70Sの比較で予後規定因子,同一21症例F前後42Sでコイル塞栓術の効果について検討した.【結果】新法/従来法で表示,Qp 3.57±0.96/2.26±0.62 l/min/m2,Qs 3.20±0.77/3.26±1.17 l/min/m2,肺血管抵抗Rp 1.44±0.56/2.65±1.20 Um2,APC直接法/間接法/平均 1.16±0.89/1.06±0.77/1.11±0.81 l/min/m2.従来法に比べて新法でQsは有意差なくQpは高くRpは低かった(Wilcoxon検定:ともにp<0.0001).新法と従来法でのQpの差はAPCに相関した (Pearson検定:r=0.554,p<0.0001).問題有SでAPC,Rpは高値であった(Mann-Whitney検定:p<0.0001,0.009).同一症例F前後Sでコイル塞栓術によりAPCは減少した(Wilcoxon検定:p=0.01).【結語】F前後は無視できないAPCが存在するため従来法は信頼性に欠けるが位相差MRI流量分析とCC圧測定を組み合わせた新法でより正確で有用な血行動態評価が可能である.