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[I-OR114-01] 1か月健診時の心電図記録による乳児突然死予防に関する研究
キーワード:乳児、突然死、スクリーニング
【背景】乳児期QT延長症候群(LQTS)の頻度と予後の報告についてはイタリア (Circulation, 2009)と日本 (Circ Arrhythm Electrophysiol, 2013) の2報告のみであり、検証が必要である。【目的】厚労省研究班において1か月時の心電図記録により乳児の突然死予防が可能か検討した。【方法】全国8地域(鹿児島、福岡、名古屋、新潟、豊明、茨城、大垣、富山)において平成26、27年度に1か月健診時の心電図記録を行った。LQTSの診断基準は連続3心拍のQTc (Bazett補正)平均値が0.46以上とし、経過観察中0.50以上を示した場合内服加療を開始した。他の遺伝性不整脈の診断と管理については三大陸不整脈学会基準を使用した。家族が希望した場合、遺伝学的検査を行った。【成績】全国8地域において2016年1月現在で計5994名(男児3020名、女児2972名)が参加した。平均QTc値は性差を認め (男児412±20 ms、女児 414±20 ms , p<0.001)、在胎期間 (相関係数 0.058, p<0.001)、出生体重 (相関係数 0.066, p<0.001) との相関を認めたが、例数が多いための有意差の出現と考えられ、抽出に影響するレベルではなかった。QT延長を示した例は6例 (男児2例、女児4例)、うち治療を要した例は3例 (男児1例、女児2例)であった。治療を開始した3例に遺伝学的検査が行われ、1例にLQT2 {KCNH2変異 (K897T, 2690A>C)を認め、他は検査中であった。WPW症候群を4例認めた。上記以外に心電図異常を認めなかった乳児2例が各々生後2か月時、3か月時に突然死しており、いずれも found dead の状態で発見された。【結論】乳児期のLQTSの頻度は約1000人に1人、治療を有する例は約2000人に1人であった。前回の日本での検討と同様であり、これらの例は生命予後の改善に有効であると考えられた。同時に遺伝性不整脈以外での乳児突然死もあり、乳児突然死に関してはさらに検討していく必要があると考えられた。