11:10 AM - 11:50 AM
[I-OR114-04] 心電図P波減高と術後遠隔期心房性不整脈発症との関連
Keywords:P波、右心房拡大、心房性不整脈
【背景】非弁膜性心房細動の発生は左房拡大・心房筋障害がトリガーと考えられている。一方、先天性心疾患術後患者では右心系遺残病変を有するものに心房性不整脈を合併することを経験するため、右心房筋障害が心房性不整脈発生に関与すると推察する。また日々の診療において、右房拡大に続く増高したP波が経時的に減高してゆき、心房性不整脈へつながることを経験する。【目的】右心房筋障害をP波減高として捉え、心房性不整脈の発生を予見し得るを検討する。【対象・方法】心房性不整脈を発症した右心遺残病変をもつ10歳以上の二室修復術後患者18例(男9)について、右心房面積(RAA)と心電図II誘導のP波高(P-amp)を検討した。年齢が一致した心房性不整脈を発症していない二心室修復術後23例を比較対象とした。RAAは心エコー心尖部四腔像で計測した。【結果】心房性不整脈の発症は21歳(11歳~46歳)、術後15年(5年~38年)であった。TOF 10例、ASD 1例、AVSD 2例、C-TGA 3例、Critical PS 1例、VSD1例であった。C-TGA2例にペースメーカーが留置されていた。不整脈はAFL(心房粗動)11例、EAT(異所性心房頻拍)6例、Afib(慢性・発作性心房細動)2例で、AFL11例中5例はAfibに移行した。9例でアブレーションが行われていた。遺残病変は中等度以上TR11例、PR6例、TS3例、PS1例、PAH1例、RVOTS1例であった。RAA 16.5cm2/m2と拡大していた(対照群;9.9cm2/m2、p<0.05)。P-ampは不整脈発症10年前0.14mV→発症直前0.09mV(p<0.05)と経時的に減高しており、発症直前でのP-amp/RAA比=0.006mV/cm2・m2で、対照群;0.010に対して有意に低かった。遠隔期心房性不整脈合併例では右房拡大の程度に比べ有意にP波が減高していた。【結語】右房拡大し、経時的に心房低電位を示すものは心房性不整脈の高リスクと認識すべきである。右心系に残存病変を持つ術後患者においてP-amp/RAAは簡便に計測でき心房性不整脈の予見として有用と考えられる。