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[I-OR118-01] Fontan術後のNT-proBNP高値に関与する因子及び臨床的特徴
キーワード:NT-proBNP、Fontan、Fontan型循環
【背景】NT-proBNPは心室筋細胞に対するストレスの指標として広く利用されている。Fontan型循環においては、心室・心房がともに体循環系のみに属しており、分泌刺激及び臨床的な特徴が二心室型と異なっていると考えられる。【目的】Fontan術後でのNT-proBNP高値への関与因子、及び高値例の臨床的特徴を検討する。【方法】2010-2015年に血行動態把握のためカテーテル検査を施行したFontan症例の161人を対象に後方視的検討を行った。心不全の可能性があるNT-proBNP≧400pg/ml(n=31)をNT-proBNP高値と定義(日本心不全学会)した。まずNT-proBNP高値に関与する臨床及び心機能因子を単変量、次いで多変量解析で求め、次にNT-proBNP高値群の臨床的特徴を検討した。【結果】多変量解析でNT-proBNP高値に独立して関与したのは、カテ時年齢(≧19.0歳、オッズ比4.0倍)、Cre値(>0.70mg/dl、4.2倍)、心室拡張末期容積(≧155%、9.6倍)、心室拡張末期圧(≧13mmHg、4.4倍)。単解析では更に、Fontan年齢(≧5.9歳)、房室弁逆流(II度以上)、大動脈弁逆流、肺動脈駆動圧(≦5mmHg)、心室収縮末期容積(≧60%)が関与していた。これら9因子のNT-proBNP高値の説明係数は38%であった。NT-proBNP高値群では有意に、心拍出量低下(3.0 vs.3.5 L/min/m2)、肺動脈楔入圧(9.8 vs 7.0mmHg)、中心静脈圧(13.9 vs 12.0mmHg)上昇、肝障害の存在を示す血小板数(17.5 vs 23.0x104/μl)減少、γGTP値(126 vs. 67IU/l)上昇が見られ、入院既往(54.8vs.31.5%)も多かった。【結語】成人の二心室型の報告と同様に、NT-proBNP高値には心筋の伸展刺激、加齢、腎機能低下が関与していた。また、みかけの関与因子としては、弁逆流、肺動脈駆動圧が関与した。NT-proBNP高値群では、肝機能障害を示唆する所見が有意に高くなっていた。