一般口演1-18（I-OR118）
自律神経・神経体液因子・心肺機能

[I-OR118-02] 赤血球容積粒度分布幅（RDW）高値とFontan循環

^○梶濱 あや^1,2, 浜道 裕二¹, 正谷 憲宏¹, 武口 真広¹, 齋藤 美香¹, 石井 卓¹, 稲毛 章郎¹, 中本 祐樹¹, 上田 知実¹, 矢崎 諭¹, 嘉川 忠博¹ (1.榊原記念病院 循環器小児科, 2.旭川医科大学 小児科)

キーワード：Fontan、赤血球容積粒度分布幅、循環不全

【背景】近年赤血球容積粒度分布幅（RDW）値は、心筋梗塞、肺線維症、肺高血圧などの心肺疾患の予後予測因子として報告されてきている。【目的】我々は、RDW値上昇がFontan術後患者における心機能、肺循環と関連しているか検討した。【方法】対象は2010～2015年に血行動態把握のために心臓カテーテル検査及びRDW測定をした159人。後方視的検討。159人のRDW値上位1/5以上（RDW≧15.3）をRDW高値と定義した（n=32）。まずRDW高値群と非高値群で臨床的特徴の違いを検討した。次にRDW高値に関与すると思われる心機能、循環因子を単解析、次いで多変量解析で求めた。【結果】両群間で、無脾症候群、強い房室弁逆流の合併頻度に差はなく、1st strategy、Fontan施行年齢、カテ年齢も差はなかった。治療介入としてcoil塞栓、ペースメーカー植え込み、fenestrated Fontanの施行率に差はなかったが、RDW高値群が有意に房室弁修復を受けていた。両群間で肝障害の有無に差はなかったが、RDW高値群が有意にアルブミン値は低く、尿酸値は高かった。多変量解析でRDW高値に独立して関与した心機能、循環因子は、中心静脈圧（≧19mmHg、24.6倍）、心室拡張末期圧（≧20mmHg、オッズ比23.0倍）、ヘモグロビン値（≦12.6g/dl、14.0倍）、大動脈酸素飽和度（≦85%、6.1倍）Cre値（≧0.68mg/dl、4.2倍）の5因子。単解析では、他に、肺動脈楔入圧（≧14mmHg）、心室拡張末期容積（≧74ml/m2）、NT-proBNP値（≧553 pg/ml）の3因子が関与した。全8因子のRDW高値への説明係数は46%であった。【結語】Fontan患者では心機能の他、肺循環が重要である。今回の検討では、FontanでのRDW高値には、心機能、肺循環の破錠を示唆するような因子がいくつか含まれていた。RDW高値は、Fontan患者の予後不良を予測する因子となるかも知れない。