2:35 PM - 3:25 PM
[I-OR119-05] 高肺血流性機能的単心室患者における予防的DKS手術の有効性と適応疾患についての考察
Keywords:DKS手術、Fontan、合併症
【背景】高肺血流性機能的単心室(high flow SV)患者においてBDG時に予防的DKSを行うことはTCPC後長期遠隔期においても体循環流出路狭窄(SS)や血栓塞栓症(TE)のリスクを回避できる可能性がある。予防的DKSを行うべき疾患は心形態診断の時点で決定されていることが理想である。【目的】high flow SV 群における予防的DKSの有効性および適応疾患について検討する。【方法】2002年6月から2015年9月に出生したhigh flow SV群26例(HLHSおよびvariantを除く)を対象とし、予防的DKSを施行した症例(D)、しなかった症例(ND)において遠隔期に発生したSSもしくはTEについて、および関連する心形態について後方視的に検討した。【結果】観察期間はND群8.4年、D群2.5年。早期死亡0例。ND群(n=15)のうち、SS 6例(40%)、TE 1例(7%)(脳梗塞)を認めた。D群(n=11)ではSS, TEを認めた症例はなかった。心形態別にみると、D群は全てCoAの合併 (n=4)、BVFの存在(n=4)、ECD心形態(n=3)のいずれかが存在していたが、ND群で上記心形態を有した11例中6例(55%)(CoA 4/4例、 BVF 1/4例、 ECD1/3例)に遠隔期SSを認め手術介入を要した他、1例(BVF)にTEの発生を認めた。上記以外の心形態4例のND群(SRV, TA(Ic))においてSS,TEは認めなかった。【考察】上記の結果よりhigh flow SV患者でCoA、BVF、ECDのいずれかを合併している症例(SLV, TA(IIc), unbalanced ECD, DORV) に対しては予防的DKSを行うことで遠隔期のリスクを回避できるものと思われる。一方、SRV(SAS/CoA非合併例), TA(Ic)ではSSのリスクは低く、Stump内血栓回避の工夫を要するがDKSを行う必要はないものと思われた。【結論】予防的DKS手術によって遠隔期体循環流出路狭窄や血栓塞栓症のリスクを回避できる。CoA合併例、SLV, DORV(BVFを有する例)、unbalanced ECDは適応となる心形態と思われる。