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[I-OR120-01] フォンタン型手術施行後一年時の精神運動発達について
キーワード:フォンタン手術後、精神運動発達、遠城寺式乳幼児分析的発達検査
【背景】先天性心疾患の中でも、とりわけチアノーゼ性心疾患児において精神運動発達が遅延することが指摘されているが、治療経過における発達状況とその関連因子についての報告は少ない。【目的】フォンタン型手術(TCPC)適応患児の手術前後の発達状況とその関連因子について把握すること。【対象と方法】2012年から2014年に当院にてTCPCを受けた先天性心疾患児21例(平均年齢3歳3ヵ月)。手術前と手術後1年経過時に遠城寺式乳幼児分析的発達検査を施行するとともに診療録より手術歴、手術前後の心臓カテーテルの圧データ、SpO2値を調査した。遠城寺式乳幼児分析的発達検査結果より生活年齢に対する発達年齢を示す発達指数(DQ)を算出、DQと各因子との関係をみた。【結果】平均手術回数は2.8回、BDG手術時平均年齢9.5カ月、TCPC手術時平均年齢2歳3ヵ月。各領域の平均DQは、移動運動(手術前/後)82.2/96.6、手の運動79.9/93.5、基本的習慣85.8/93.9、対人関係86.1/99.7、発語82.0/91.5、言語理解87.2/91.3であり、平均CVP値12.5/11.5mmHg、平均Rp値1.9/1.5mmHg/L/min、平均PAインデックス値244.3/242.7、SpO2値86.3/96.4%であった。手術前後で比較すると、言語理解DQを除く5領域でのDQ、SpO2値において手術後の値が有意に高く、Rp値は手術後の値が有意に低かった(p<0.05)。移動運動DQに着目すると、手術後1年時の移動運動DQは、手術回数、BDG手術時年齢、TCPC手術時年齢との間に中等度の負の相関関係を、手術後PAインデックス値との間には中等度の正の相関関係を認めた(p<0.05)。また、移動運動DQの改善率は、SpO2値の改善率との間に中等度の正の相関関係を、手術前移動運動DQとの間には強い負の相関関係を認めた(p<0.05)。【考察】TCPC施行患児では、チアノーゼの改善と血行動態の改善により手術後の精神運動発達が年齢相応にキャッチアップしていく可能性が示唆された。