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[I-OR120-02] 乳幼児早期からの新版K式発達検査による心疾患児に対する発達評価と自律神経評価―発育障害(低身長)が及ぼす重大な悪影響の懸念―
キーワード:先天性心疾患、新版K式発達検査、発育障害
【背景】先天性心疾患の救命率向上の一方で、発達遅延を呈する患者が多数存在することが明らかになっており、その病態解明と改善策の確立は重要な課題である。これまで発達遅延のリスク因子として、胎児期血行動態、手術侵襲、術後血行動態などが報告されている。一方、重度低身長は慢性低栄養の指標とされ、発達への影響が懸念されている。また、自律神経活動異常は心不全予後と関連し、心疾患児で認められる不穏で休息がとれにくい状態との悪循環を形成し、発達への悪影響が推測される。【目的】心疾患児における発育障害が、発達遅延・自律神経異常と関連するという仮説を検証する。【方法】新版K式発達検査を施行した染色体異常を除く心疾患児22例(3.3±1.5歳)を後方視的に検討した。外来で身長・体重を測定し、臥位6分間の心電図記録からウェーブレット法による心拍変動解析を用いて自律神経活動を評価した。【結果】身長のZ値は-1.6±1.5と、多くの症例で発育障害を認めた。発達検査における全領域DQは、79±15で発達遅延を示し、70未満を6例(27%)に認めた。全DQは身長Z値と強い正の相関を示し(P<0.0001、R=0.80)、発育と発達の強い関連を示唆した。さらに身長Z値の低下は、副交感神経活動(RR-SD, HF)の低下と有意に相関するとともに、全DQの低下は、低周波成分の減弱とも関連し、発達遅延と自律神経活動全般の低下の関連が示唆された。【結語】これまで発育障害の原因として考えられている種々の要因に加え、発育不良が発達障害の重要な因子となりうること、さらに両者の関連には自律神経活動異常が介在し、悪循環の一因となっている可能性があること、を示した今回の結果は、1)発育の評価が簡便かつ重要な発達の指標になりうること、2)正常な発育を促す栄養、日常生活習慣、および薬物管理の重要性、を示唆する。