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[I-OR120-03] 群馬県における新生児開心術後患児の精神神経発達評価の現状と問題点
Keywords:先天性心疾患、精神神経発達障害、発達検査
【背景】重症心疾患児の救命率は向上したが,その後の精神神経発達障害が長期予後の合併症として注目されている.【目的】新生児期開心術後患児や周術期に集中治療を要した児の精神神経発達評価の現状と問題点を検討する.【対象と方法】対象;2007年から2015年の開心姑息術を含む新生児期開心術, Norwood型手術を施行した症例.方法;手術内容,染色体異常,術後頭部MRI所見,リハビリ等の介入,発達検査等を診療録を基に後方視的に検討した.【結果】手術内容別に心内修復術(ICR群)41例,姑息術後二心室修復(P-BVR群)23例,単心室修復(P-SVR群)24例であった.染色体異常の合併はP-BVR群で48%と高頻度で,その他の群では7-8%であった.新生児開心術後、頭部MRI検査は約半数で施行されていたが,姑息術群では30%と施行率が低かった.有所見率は各群30-60%程度で、異常所見は脳萎縮,陳旧性脳梗塞,硬膜下血腫が主な所見で,神経内科併診が開始されていた.P-BVR群,P-SVR群の50-75%にリハビリ、神経内科、児童精神科、遺伝科のいずれか1つ以上が介入していたが,ICR群では介入は24%のみであった.発達検査(遠城寺式、新版K式、WISC-III/IV)の施行率はP-BVR群,P-SVR群では約40%で施行されているのに対しICR群は17%であった。就学前後での新版K式,WISC検査は6例のみであったがいずれも知能指数は境界域から中等度精神発達遅滞であり,染色体異常合併が1例, 広汎性発達障害と診断されたICR群の2例は特別支援学級への進学となった。【考察】姑息術群は複数回の手術,染色体異常の合併や異常頭部MRI所見を契機として他科の介入や発達検査の頻度が多い傾向にあった。一方、ICR群は、介入が少ない傾向にあるが、発達検査の結果により適切な就学支援ができた症例があり、今後は発達スクリーニングとフォローアップができる体制を構築したい。