2:30 PM - 3:30 PM
[I-OR122-02] Fontan術後患者における血清CA125値の臨床的意義の検討
Keywords:CA125、Fontan、心不全
【背景】 Carbohydrate antigen 125(CA125)は卵巣癌などの腫瘍マーカーとして臨床活用されているが,心不全や体腔内体液貯留で血清値が上昇することが知られている.【目的】Fontan循環患者の血清CA125値を測定し,その臨床的意義を検討する.【対象・方法】2015年7月~12月に当科に入院した15歳以上のFontan術後患者26症例(男 9例,中央値24(16-53)歳,TCPC 12例/APC 14例)を後方視的に検討.【結果】患者のNYHAクラスはI:14,II:7, III:5例であった.心不全入院患者ではそれ以外の患者と比較して血清CA125値(U/mL)が有意に高値であった(206.6 vs 76.2, p=0.003).また,NYHA Iで33.1, NYHA II/IIIで213.4と上昇する傾向にあった(p=0.0005).PLE,下腿浮腫,肺うっ血,胸水,腹水をそれぞれ有する患者は,有さない患者と比較して高値であった(各332.0 vs 88.2, p=0.04 / 251.7 vs 44.6, p=0.007 / 178.4 vs 101.5, p=0.03 / 190.8 vs 98.6, p=0.02 / 216.0 vs 46.8, p=0.01).さらに血清CRP値(ρ=0.58, p=0.002),ドパミン値(ρ=0.46, p=0.02) ,トロポニンT(ρ=0.66, p=0.0002),血漿レニン活性(ρ=0.46, p=0.02)と正の相関を,血清Alb値(ρ=-0.68, p=0.0001),Na値(ρ=-0.52, p=0.007), SpO2(ρ=-0.39, p=0.047)と負の相関を認めた.また,観察期間中5例に心血管イベントが見られた(いずれも心不全急性増悪、うち3例がPLEを合併。また2例が死亡).ロジスティック回帰分析ではlnCA125値,血清Alb値,Na値,アルドステロン値,SVC圧などが心血管イベント予測因子であり,ステップワイズ法でlnCA125値が独立した予後予測因子であることが示された.【結語】血清CA125値はFontan循環患者における体液貯留・心不全で上昇し,予後予測因子として有用である.