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[I-OR122-06] 先天性心疾患の移行医療における新しいデータマネージメントの試み-AMED研究事業より
キーワード:レジストリ、移行医療、DPC
[背景と目的] 近年の医療技術の進歩により多く先天性心疾患患者が救命され、成人期に到達するようになった。これらの患者では成人期以降の治療方針の決定と予後の改善に、小児期の検査結果や手術記録が重要な意味を持つ。しかし、これまでに外科や小児科などの診療科ごとに作成されたデータベースはその内容が統一されておらず、現在患者の生涯にわたる一貫したデータベースの構築が急務となっている。本研究では、先天性心疾患患者の生涯にわたる診療情報の統一を図るため、既存の複数のデータベースをコンピューター上で統合して新たなデータベースを構築し、先天性心疾患患者の長期予後の改善を図ることを目的とする。[方法] 15歳以上の先天性心疾患患者を対象として、匿名化したDPC、病院レセプト、成人先天性心疾患ネットワーク、小児慢性特定疾患研究事業などの既存のデータから、病名、生年月、診療施設名から患者データをコンピューター内で確率論的に連結させ、小児期から成人期までの患者の長期にわたる診療データベースを自動構築する。[結果] 2015年10月よりAMED主導で研究が開始され、現在対象となる全国の小児専門施設からデータの収集を行い、患者データの連結作業を試みている。2013年度に国立循環器病研究センターに入院した15歳以上の患者DPCと成人先天性心疾患ネットワークデータで突合を試みたところ、92.3%の患者で連結が可能であった。現在、小児期の診療データとして、DPCと小児慢性心疾患研究事業データとの連結を試みている。[結論]このシステムが完成すると、先天性心疾患患者の全国レベルでの横断的なデータベースを構築できるとともに、個々の患者における小児期から成人期までの一貫した縦断的なデータベースを確立することができる。医療行政への貢献のみならず、長期予後から見た小児期の治療介入の評価、患者の長期予後の改善、将来の臨床研究の基礎として貢献する可能性がある。