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[I-OR123-01] 当院における先天性心疾患合併妊娠の経過
キーワード:先天性心疾患、妊娠、分娩
【背景】先天性心疾患患者の妊娠、出産はすでに一般的となり、各種ガイドライン(日本循環器学会:心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(2010年改訂版)、成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版))も発表され臨床に利用されていると考えられる。【目的】近年の当院における先天性心疾患合併妊娠・出産の経過につきまとめ、先天心疾患合併妊娠の実際の管理につき把握するとともに問題点を明らかにする。【方法】2010~2015年の6年間に当院で妊娠・分娩管理を行った先天性心疾患症例について診療録から後方視的にその経過についての情報を抽出した。【結果】対象症例は29名39分娩であった。疾患は心室中隔欠損が最も多く14名(根治術後6名)、ほかファロー四徴術後6名、心房中隔欠損5名(術後2名)、大血管転位術後1名、Ebstein奇形1名、大動脈二尖弁(生体弁置換後)1名、房室中隔欠損術後1名であった。妊娠時の主治医は当院小児科が10名、心臓血管外科が9名、循環器内科が2名、他院が3名、経過観察からドロップアウトしていたものが5名であった。NYHA分類は全例2以下だった。母体の年齢は18~42(中央値30)才、妊娠週数は36~41(中央値39)週、出生児の体重は2196~3610(中央値2976)gであった。39分娩のうち、経腟分娩が24回(和痛分娩3回)、帝王切開が15回、母体の心疾患を理由とした帝王切開は6回であった。母体死亡、新生児死亡はなく、母体・新生児とも周産期合併症による長期の入院を要した症例はなかった。循環器合併症として予防的抗生剤投与が施行されていたものの分娩後に感染性心内膜炎を発症し外科的治療を要した心室中隔欠損が1例あった。【まとめ】当院における先天性疾患患者の妊娠分娩管理は安全に行われ母児ともに予後は良好である。分娩様式は一般人口と比較し帝王切開が多い傾向があった。心室中隔欠損も感染性心内膜炎発症のリスクがあり十分に注意が必要である。