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[I-OR123-03] 開業産科医院で新生児期・早期乳児期に偶発的に発見される先天性心疾患の実態とその予後について
キーワード:周産期医療、先天性心疾患、病診連携
【はじめに】開業産科医院で危急性先天性心疾患を除外する為に、産科妊婦検診用エコーで緊急に心エコーを行った場合、小さな心房中隔欠損(ASD)ないし卵円孔開存(PFO)や動脈管開存(PDA)など生理的とも考えられる症例を数多く経験する。これらの症例を小児循環器専門医に紹介するべきなのか、症状出現まで放置してもよいのかなど、明確な基準はない。今回、産科用エコーにより新生児早期に偶発的に発見された先天性心疾患(CHD)の自然経過について検討したので報告する。【対象・方法】平成20年1月から平成27年8月まで、2施設の産科医院からCHD疑いで当院に紹介を受けた新生児例のうち、経過を追えた185症例を対象とした。産科エコーで診断された偶発発見群と症状出現後に紹介された後期群に分けて予後を検討した。心室中隔欠損は今回の検討から除外した。【結果】ASD133例(偶発群39例)、PDA29(23)、肺動脈狭窄(PS)32(4)、僧帽弁逆流(MR)8(1)、三尖弁逆流(TR)10(4)であった。ASDは半年程度の経過で8割が閉鎖していた。偶発群は早期には閉鎖率が高いが、最終的に後期群と閉鎖率に差はなかった。大欠損孔の症例が4例あった。PDAは偶発群では早期閉鎖が多かったが、1例は長期に開存残存し閉鎖術を必要とし、1例は心不全により早期に閉鎖術を必要とした。MR、TR、PSは経過中にいずれも軽快しており、特に積極的治療を必要とする症例はなく、偶発群と後期群で差はなかった。【考察】ASD・PDAとも偶発発見群は早期に閉鎖する傾向にあるが、最終的な予後は症状が出現してから紹介される群と変わらなかった。産科エコーでは、ASD・PDAの正確な予後判定は困難であり、循環器小児科による診断管理がやはり必要と考えられた。