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[I-OR124-03] 肺高血圧を伴う先天性門脈体循環シャントの臨床的特徴とその治療
Keywords:先天性門脈体循環シャント、肺動脈性肺高血圧、診断時期
【背景】先天性門脈体循環シャント(CPSVS)において肺動脈性高血圧症(PAH)は致命的な合併症だが、その病態は不明な部分が多く治療方針も確立されていない。【目的】PAHを伴うCPSVSの臨床的特徴を明らかにし、その治療方針を検討する。【対象と方法】当院でこれまで経験したCPSVS 26例をPAH群(初回心カテでPp/Ps≧0.25、n=10)と正常群(n=16)に分け、臨床経過、血液検査(総胆汁酸、NH3、Mn、AST、ALT、Alb、T-Bil、D-Bil、γ-GTP、ChE、BNP)、心臓カテーテル検査(Pp/Ps、CI、RpI、短絡血管径、門脈圧)について診療録を元に後方視的に比較検討した。【結果】診断時期の中央値は4歳(1か月~31歳)で、PAH群で診断が遅かった(平均 8歳10か月 vs 5歳、p=0.11)。PAH群の診断契機はPAHが4例(40%)、高ガラクトース血症が2例(20%)のみであった。3例はPHが原因で死亡し(3/10 vs 0/16、p=0.01)、うち2例の診断時期は15歳、18歳と遅かった。T-Bil、D-Bil、総胆汁酸、MnはPAH群で有意に高く(T-Bil 1.1±4.2 vs 0.69±0.28 mg/dL、p=0.002、D-Bil 0.30±0.10 vs 0.16±0.10 mg/dL、p=0.005、総胆汁酸 131±67 vs 72±44、p=0.033、Mn 3.5±1.3 vs 2.2±1.1、p=0.047)、ChEは有意に低かった(ChE 171±63 vs 256±88 U/L、p=0.02)。CI、短絡血管径、門脈圧に有意差はなかった(CI 5.5±2.7 vs 5.9±2.2、p=0.69、短絡血管最大径/体表面積10.9±5.4 vs 15.0±7.0、p=0.21、門脈圧 18.5±1.3 vs 15±8.5、p=0.59)。PAH群の5/10例はカテーテル治療(コイル塞栓術 4例、BRTO 1例)で4/5例は塞栓後に一定の改善が得られたが、診断時期が遅い3例(9歳、13歳、16歳)で肺血管拡張薬併用もPHが残存した (平均観察期間 5.3±4.0年、心エコーでの推定右室圧 塞栓前 45±13→後 36±10→遠隔期 37±16mmHg)。【考察】PAH群は診断時期が遅く予後不良であるが、塞栓で少なくともPAHの進行を抑制でき、早期診断と適切な治療介入が重要と考えられた。