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[I-OR125-03] マウス新生仔心室筋細胞のL型Ca2+チャネルに対するベラパミルの遮断作用
キーワード:ベラパミル、薬剤感受性の生後変化、刺激頻度依存性遮断作用
【背景】新生児・乳児期では、L型Ca2+チャネル(ICa,L)遮断薬のうちベラパミルの使用は禁忌とされているが(小児不整脈ガイドライン)、そのメカニズムに関しては十分には明らかにされていない。【目的】本研究では、構造的に異なる3種類のICa,L遮断薬(ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム)の作用に関する生後変化を明らかにすることを目的とした。【方法】種々の週齢(生後0日,1週齢,2週齢,4週齢,10~15週齢)のマウスから酵素処理により心室筋細胞を単離し、パッチクランプ法を用いてICa,Lの記録を行った。3種類の薬剤に対して用量反応 (抑制) 関係から薬剤感受性の生後変化を評価した。さらにベラパミルに関しては、1週齢および4週齢の心室筋細胞を用いて、刺激頻度依存性遮断作用を解析した。【結果】ニフェジピンとジルチアゼムに対するICa,Lの感受性には生後変化を認めなかったが、ベラパミルに関して、生後0日から2週齢マウスでは4週齢以降マウスと比較して有意に高い感受性を示した(1週齢マウスIC50 = 53.5±5.3 nM, n = 4; 4週齢マウスIC50 = 128.8±22.3 nM, n = 4)。さらに、1週齢マウスおよび4週齢マウスにおいて、ベラパミルは刺激頻度を0.2 Hzから2 Hzに増加させるとそのICa,Lの遮断作用は増強した。 【考察】新生児・乳児期においてベラパミル投与により心機能低下が誘発される原因として、ICa,Lのベラパミル感受性の上昇に加えて, ベラパミルの持つ刺激頻度依存性遮断作用により、心拍数の多い新生児・乳児期で成人期と比較してより大きなICa,Lの減少が発生するからと考えられた。