9:35 AM - 10:15 AM
[I-OR125-04] APCA発現モデルラットにおける分子生物学的手法を用いた新生血管発生機序の解明
Keywords:血管新生、体肺側副血行路、低酸素血症
【背景】単心室循環の様な肺血流減少性心疾患では体肺側副血行路(APCA)がしばしば増生し、肺血管床の発育抑制やリモデリングに影響を与え、心室の容量負荷から心不全や胸水の原因となり予後に影響を与えている。一方、APCA発生機序に関する検討は少なく不明な点が多い。我々はAPCA発現動物モデルの作成に成功し検討を進めている。
【目的】APCA発現モデルを用いてAPCAの発生機序を明らかにすること
【方法】生後5週のSDラット(150~200g)の左肺動脈を結紮し、低酸素環境下(FiO2 10%)で飼育した。数週間の飼育後に摘出した肺を用いて組織学的及び分子生物学的に評価した。血流量や飼育環境の影響を評価するため、右肺や大気下飼育モデルと比較、及び対照ラットと比較を行った。
【結果】肺重量は右側で拡大、左側は縮小し上葉が胸郭と癒着、同部位に肉眼的に新生血管(APCA)を認めた。大気下飼育と比較して低酸素飼育モデルで強い発現を認めた。右肺では同様の所見は認めなかった。Gene chipによる検討では、特に低酸素飼育モデルの左肺でミオシン軽鎖(Myl1 900倍 vs 対照)を中心とした細胞骨格に由来する遺伝子が増幅していた。免疫染色においても同部位でVEGFと共にミオシン軽鎖が強く発現していた。両側肺を用いたFACS解析では内皮由来stem/progenitor(SP)細胞が左上葉にのみ発現していた。
【結論】APCA発現モデルラットを用いて新生血管の発生機序を検討した。新生血管流入部位ではミオシン軽鎖を中心とした細胞骨格由来の遺伝子増幅を認め、免疫染色でも同様の所見を認めた。また同部位でSP細胞が検出され、同細胞が血管形成を促し、細胞骨格由来遺伝子が増幅したと考えられた。通常、肺ではSP細胞は検出されず、同細胞の遊走メカニズムの検討によりAPCAの発生機序解明の一助となると考えられた。
【目的】APCA発現モデルを用いてAPCAの発生機序を明らかにすること
【方法】生後5週のSDラット(150~200g)の左肺動脈を結紮し、低酸素環境下(FiO2 10%)で飼育した。数週間の飼育後に摘出した肺を用いて組織学的及び分子生物学的に評価した。血流量や飼育環境の影響を評価するため、右肺や大気下飼育モデルと比較、及び対照ラットと比較を行った。
【結果】肺重量は右側で拡大、左側は縮小し上葉が胸郭と癒着、同部位に肉眼的に新生血管(APCA)を認めた。大気下飼育と比較して低酸素飼育モデルで強い発現を認めた。右肺では同様の所見は認めなかった。Gene chipによる検討では、特に低酸素飼育モデルの左肺でミオシン軽鎖(Myl1 900倍 vs 対照)を中心とした細胞骨格に由来する遺伝子が増幅していた。免疫染色においても同部位でVEGFと共にミオシン軽鎖が強く発現していた。両側肺を用いたFACS解析では内皮由来stem/progenitor(SP)細胞が左上葉にのみ発現していた。
【結論】APCA発現モデルラットを用いて新生血管の発生機序を検討した。新生血管流入部位ではミオシン軽鎖を中心とした細胞骨格由来の遺伝子増幅を認め、免疫染色でも同様の所見を認めた。また同部位でSP細胞が検出され、同細胞が血管形成を促し、細胞骨格由来遺伝子が増幅したと考えられた。通常、肺ではSP細胞は検出されず、同細胞の遊走メカニズムの検討によりAPCAの発生機序解明の一助となると考えられた。