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[I-OR126-03] 川崎病急性期でのステロイドの併用とサイトカインの変化
キーワード:川崎病、IL-6、IL-10
【背景】川崎病急性期の治療において、群馬スコアに基づき初回の免疫グロブリン大量療法(IVIG)にステロイドを併用する方法が標準的になりつつあるが、ステロイド併用療法下で不応例を予測するためにサイトカインが有用であると推測した。【目的】川崎病急性期におけるサイトカインの動態を調べる。特にステロイドを併用した場合での動態に注目し、治療不応例の予測が可能かを調べる。【対象・方法】2013年10月から2014年9月までに東京大学医学部附属病院および関連施設において川崎病急性期治療を行った患者のうち、IVIGを施行した患者を対象とした。IVIG施行前、治療後2日でサイトカインを測定した。炎症性サイトカインとしてTNFα, IL-1β, IL-6, IL-12, IFNγ, GM-CSFを、抑制性サイトカインとしてIL-10, IL-13を測定した。また、自然免疫系に関与するマーカーとして、HMGB1(High mobility group Box 1)とそのレセプターの一種であるsRAGE(soluble form of Receptor of Advanced Glycation End-Products)を測定した。【結果】期間中にIVIGを施行した川崎病患者は80人、不応例は全体で16人であった。ステロイド併用療法を行った44人の内、不応例は6人であった。群馬スコアは不応例群と反応例群との間で有意差は見られず、ステロイド併用群に限っても同様であった。測定したサイトカインのうち、IL-6とIL-10が治療前において不応例群の方が反応例群よりも有意に高い値であり、ステロイド併用群でも同様であった。その他のサイトカインは不応例と反応例の間で有意な差を認めなかった。【結論】群馬スコアに基づき初回治療にステロイドの併用を行う群においても不応例は存在するが、IL-6やIL-10はそれらを予測する因子である可能性がありバイオマーカーとしての有用であることが示唆される。