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[I-OR126-04] 当院におけるγ-グロブリン大量静注療法不応川崎病に対するシクロスポリンの使用経験
キーワード:川崎病、シクロスポリン、IVIG不応
【背景】川崎病急性期の標準的治療としてγ-グロブリン大量静注療法(IVIG)とアスピリン(ASA)内服は確立されている。しかし、概ね15-20%の割合でIVIG不応例を経験する。IVIG不応例への治療としては、IVIGの再投与が一般的であるが、IVIG再投与に不応であった場合の3rd line以降の治療法について、統一した見解はない。当科ではインフリキシマブ(IFX)を3rd lineとして選択することが多い。しかし、乳児期早期の症例や生ワクチン接種直後などIFXが選択しづらい症例、そしてIFX不応症例を経験することがある。そのような症例に対してシクロスポリンA(CsA)を投与し、良好な結果が得られたため、今回文献的な考察を加えて報告する。【対象】2014年4月から2015年12月までの期間に山口大学医学部付属病院小児科に入院した川崎病患者でIVIG不応のためCsAを投与した4症例、IVIGに加え、IFXに対しても不応であった1例を対象とした。【結果】症例の年齢は中央値17か月(1~65か月)であり、全例男児であった。治療開始病日は中央値4病日(2-8病日)であり、初回治療は全例IVIG 2 g/kgとASA内服を選択した。CsAの投与開始病日は中央値9病日(8-22病日)であった。CsAは全例4mg/kg/dayを内服し、トラフ値60-200ng/mlを目標とした。投与開始から解熱までの期間は中央値1日間(1-14日間)であった。追加治療が必要な症例は1例あり、IVIGを追加で実施した。1例で冠動脈の一過性拡大を認めた。CsAによる重篤な副作用は認めなった。【考察】過去の報告ではIVIG2回不応の症例に対するCsAの有効性は80%程度とされている。当科でも過去の報告同様良好な結果が得られた。重篤な副作用は認めず、乳児期早期などIFXが選択しづらい症例やIFX不応例に対しても、CsAが有効な選択肢であることが示唆された。【結語】当科におけるCsAの使用経験について報告した。3rd lineの治療法としてCsAは有力な選択肢であり、IFX不応例に対しても有効であった。