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[I-OR127-01] Dual Source Computed Tomography(DSCT)による川崎病遠隔期における冠動脈石灰化出現の特徴
キーワード:川崎病、DSCT、石灰化
【背景】川崎病(KD)による冠動脈障害(CAL)において、遠隔期に冠動脈壁の石灰化(CAC)が出現しうる。【目的】KDによるCALと診断された患者においてDSCTを用いて遠隔期のCAC出現の特徴を明らかにする。【対象・方法】KD発症100日未満に選択的冠動脈造影(CAG)でCALが診断され、遠隔期にDSCT検査を受けた65名(男50名、女15名)。DSCTは2007年から2015年に撮影。Branch群(B群:セグメント1-3,6,7,11の6部位)と左冠動脈主幹部または分岐部(LCA群)の2群で後方視的に検討した。最大冠動脈径、DSCT撮像時のCAL{拡大性病変(DL)、狭窄性病変(SL)、退縮(R)}、KD発症からの期間、性差とCAC出現との関連についてみた。CAC出現のカットオフ値はROC解析、出現率はKaplan-Meier法を用いて算出した。【結果】DSCT撮影時年齢 2-36歳(中央値18歳)、KD発症年齢 3か月-11歳(中央値2歳)、KD発症からDSCT撮影の期間 2-34年(中央値16.7年)。3例(5%)に心筋梗塞、8例(12%)に冠動脈バイパス術の既往があり、40例(62%)は抗血栓療法中であった。初回CAGのCAC出現頻度はB群90/227(40%)、LCA群14/46(30%)で、CALのない部位に1例(1%)みられた。遠隔期のCAL別にみると、B群DL 26/58(45%)、SL 39/63(62%)、R 24/106(23%)、LCA群DL 11/17(64%)、SL 2/2(100%)、R 2/27(7%)であった。CAC出現の初回CAG径のカットオフ値は、B群BSA≧0.50で5.0mm(AUC 0.861,p<0.001,n=344)、BSA<0.50で4.0mm(AUC 0.840,p<0.001,n=136)、LCA群で6.7mm(AUC 0.935,p<0.001,n=65)であった。B群でCACがみられたセグメントでは、初回CAG最大径とKD発症からの期間において有意な関連がみられた(r=-0.40,p<0.001,n=90)。初回CAGのCALにおける20年でのCAC出現率は、男45%、女11%で男性が有意に高かった(log rank test =0.012)。【結語】CAC出現は、急性期冠動脈径とKD発症からの年数に関連していた。若年成人期では、男性により早期にCACが出現する傾向がある。