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[I-OR127-02] 冠動脈血管内超音波(IVUS)と光干渉断層法(OCT)による川崎病後冠動脈障害における血管壁の検討
キーワード:川崎病後冠動脈障害、IVUS、OCT
【背景】川崎病後冠動脈障害に対して冠動脈血管内超音波(IVUS)を用いた血管内膜組織の報告を認めるが、実際の内膜組織との相違や中・外膜の評価は依然として不明である。光干渉断層法(OCT)は冠動脈内膜のみならず中膜、外膜をも明瞭に描出でき、その微細な構造まで明らかにできる可能性がある。【目的・方法】4症例の川崎病後冠動脈障害に対してIVUSとOCTを行い、冠動脈組織像の比較検討を行った。【結果】症例1:10歳8か月の女児。急性期にLMTの拡張を認め、その後退縮。IVUS上、線維性組織を中心とした内膜肥厚および粥状硬化の初期像を認めた。OCT上は内膜肥厚および3層構造の破綻を認めたが、石灰化の所見は認めなかった。症例2:8歳9か月の男児。急性期にRCAに数珠状の瘤を認めたが、その後退縮し形態は正常化。IVUS上は線維性組織を中心とした内膜肥厚および一部に石灰化を認めた。OCT上は線維組織による内膜肥厚や3層構造の破綻、外膜周囲に石灰化およびvaso vasorumを認めた。症例3:8歳5か月の男児。急性期に両側冠動脈瘤を認め、その後RCAは退縮。IVUS上は線維性組織を中心とした内膜肥厚を認め、一部粥状硬化の初期像を認めた。OCT上では3層構造の破綻に伴う内膜肥厚を認めるが、石灰化は認めなかった。症例4:13歳3か月の男児。急性期に両側冠動脈瘤を認め、その後RCAは退縮。IVUS上は粥状硬化の初期像が中心である内膜肥厚を認めていた。OCT上では明らかな石灰化は認めず、脂質の沈着を示唆する所見も認めなかった。【結論】IVUS上では発症早期から内膜肥厚に加えて、粥状硬化の初期像と思われる所見を認めるが、今回のOCTの所見ではIVUSを支持する所見は認めなかった。またOCT上、瘤が存在した思われる部位では3層構造が破綻しており、全周性血管炎のため内・外弾性板の破壊が推測された。