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[I-OR128-02] 年長発症川崎病に対する免疫グロブリン療法
キーワード:川崎病、免疫グロブリン療法、冠動脈病変
【背景および目的】年長発症は川崎病心血管病変の独立した危険因子とされている。現在の標準的川崎病急性期治療は2g/kg/回の免疫グロブリン療法(IVIG)であるが、年長発症例に対する投与法は確立されていない。年長発症例に対するIVIGの2g/kg×体重(kg)/回投与の安全性、有効性を探ることを目的として自験例を検討した。【方法】対象は1999年1月~2015年9月に当科で2g/kg/回の初回単独IVIGを受けた210例とし、後方視的に検討した。対象期間のIVIG投与量は年長例(6歳以上)も年少例(5歳以下)と同様に2g/kg×体重(kg)とし、体重により、24時間以上かけて投与することは可とした。2006年までは1回総IVIG投与量を60gまでとした。【成績】対象210例の性比は男児109例(52%)、発症年齢は中央値2歳0カ月(2カ月~13歳3カ月)、冠動脈病変(CAL)の頻度は30病日前が5%、30病日後が2%であった。年長例18例の体重は中央値25(18-53)kg、1回IVIG投与量は中央値50(36-105)g、2.0(1.6-2.1)g/kg、点滴時間は中央値24(17-39)時間であった。16/18例が2.0g/kg/回以上のIVIG投与を受けていた。全症例で血栓症を含めた重大な合併症なく、安全に投与可能であった。年長例で川崎病主症状が少なくとも4つそろった時期は中央値5(4-7)病日で、8例(44%)が6病日以降であった。年長例と年少例の比較所見では、性比、久留米スコアー、不全型、不応例の頻度に有意差はなかった。初回IVIG開始病日は、年長例vs年少例で、中央値6(4-8) vs 5(3-16), P=0.038、であった。30病日前と後のCALの頻度は、各々、6% vs 5%, 0% vs 2%,で有意差はなかった。【結論】川崎病による心血管病変ハイリスクとされる年長発症例に対するIVIGの2g/kg×体重(kg)投与は安全で、年少例と同等のCAL合併頻度での治療成績が期待できることが示唆された。