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[I-OR128-03] 冠動脈瘤非合併川崎病における冠動脈の中長期的成長に関する検討
キーワード:川崎病、遠隔期、冠動脈成長
【背景】川崎病冠動脈瘤非合併例においては、正常から冠動脈炎瘢痕まで多様な病理学的所見が報告されており、冠動脈の成長に対する影響は不明である。【目的】冠動脈瘤非合併川崎病冠動脈炎が、冠動脈の中長期的な成長に及ぼす影響を検討すること。【方法】当院にて外来経過観察中の冠動脈瘤非合併川崎病既往児288(男170、女118)例のうち、冠動脈非拡大群(N群)と一過性拡大群(D群)の心エコー冠動脈径計測値Zスコアを各々後方視的に検討した。Zスコアは日本川崎病研究会が作成したものを基準として用いた。【結果】発症2年後のZスコア平均(95%信頼区間)はD群<冠動脈AHA分類#1: -0.23(-0.75~0.28)、#5: 0.06(-0.69~0.82)、#6: -0.10(-0.99~0.79)>、N群<同#1: -0.17(-0.39~0.05)、#5; -0.05(-0.26~0.15)、#6; -0.19(-0.38~-0.007)>と両群とも正常群より冠動脈径が小さい傾向が示唆された。D群とN群間の比較では、発症後1年時点のみD群に比べN群がおおむね小さく(冠動脈AHA分類#1、#5、#6それぞれP=0.197、0.036、0.022)、発症2年後以降は両群間に差は認めなかった(同#1、#5、#6それぞれP=0.140、0.385、0.103)。【考察】川崎病冠動脈炎では動脈構築保持に重要な内弾性板や中膜平滑筋、細胞外マトリクスなどが傷害され、炎症沈静後も血管リモデリングが長期間持続するとされる。動脈瘤非形成例においても内膜肥厚、内外弾性板伸展、中膜菲薄化、外膜線維組織増生を指摘する報告も多く、冠動脈成長阻害要因と成り得る。【結論】川崎病冠動脈瘤非合併例において、エコー上一過性拡大の有無に関わらず正常血管に比べて成長が乏しい可能性がある。また、D群N群間の比較から、“一過性”拡大の退縮には発症後1年以上を要することが示唆された。