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[I-OR129-02] 愛媛県における小児の心肺停止による救急搬送症例の検討
キーワード:AED、突然死、小児救急
【背景および目的】 子どもたちを突然死から守るためには、学校心臓病検診の精度の向上と、発症例を救命するためにはAEDの複数設置が有効である。これらにより小児の突然死は減少してはいるが、依然として一定の頻度で遭遇する。さらなる突然死の予防対策を立てるために、小児の緊急搬送のうち心肺停止症例について解析した。【対象と方法】 対象は、過去10年間(平成17年4月~平成27年3月)の期間に、救急搬送された18歳以下の小児症例すべて。松山市中央消防署の協力のもと、年齢、性別、年度別、重症度別、学校の中での事故発生場所、時間帯、活動内容などについて解析し、心肺停止例の分析を行った。【結果】松山市の人口は約50万人、出生数約4500人で、救急搬送は年間平均2万人、小児搬送数は約1700人、新生児・乳児の搬送は850人であった。学校への出場件数は76~96件で、心肺蘇生必要症例は年に1~3人であった。調査期間中、心肺停止のため救急搬送された小児は、69症例であった(1歳未満24例、1~5歳18例、就学児27例)。0~2歳の急病による心肺停止搬送患者のうち、就寝時に発病したのが11例中9例であった。Bystanderによる心肺蘇生は、29症例に施行され、うち22例が救命されており、バイスタンダーによるCPRが行われた場合は、救命率が約2.2倍高かった。原因を特定できた症例では、QT延長症候群、ブルガダ症候群、カテコラミン誘発性心室頻拍、肥大型心筋症、特発性心室細動、心臓振盪などであった。また、12歳以上において、9人の自傷行為を認めた。【考察および結語】1歳未満の乳児の搬送の割合が最多であった。0~2歳の心肺停止は、就寝時の発症が多く、乳幼児突然死症候群はもちろん致死性不整脈の関与が考えられる。また、就学前の1~5歳の幼児の心肺停止は比較的多く、幼稚園、保育園へのAED設置も重要であることが明らかになった。