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[I-OR129-03] 学校管理下心停止における原因疾患別救命率の比較
キーワード:心肺蘇生、QT延長、大動脈解離
【目的】学校における心停止の原因疾患は様々で、心臓検診で発見が可能な疾患と不可能な疾患がある。原因ごとの救命活動の結果を評価し、心臓検診における課題を明らかにする。【方法】2008~13年に学校災害共済制度に登録された突然死(D)121事例と、AED使用、胸骨圧迫、除細動、心肺蘇生が行われ回復(R)した201事例の報告書(心電図、健康診断結果、死亡診断書または検案書及び関連記録全て)を分析し、原因疾患を推定した。原因疾患が見当たらず救命処置でAEDから通電指示が出た例は心室細動に含めた。原因別の回復率{R/(D+R)}と回復事例のOdds比およびp値を算出した。【結果】調査期間での発生率(/105students・年)は、D 0.12、R 0.20であった。以下、原因疾患名(D例数/R例数; 回復率; 回復Odds 比; p値)の形式で表記すると、心筋症(19/21; 53%; 0.61; 0.14)、先天性心疾患(10/7; 59%; 0.39; 0.054)、冠動脈異常(6/9; 60%; 0.87; 0.8)、心筋炎(6/2; 25%; 0.19, 0.031)、大動脈解離(8/0; 0%; 0; 0.001)、心室細動(30/57; 66%; 1.2; 0.58)、QT延長(1/9; 90%; 5.5; 0.07)、心臓震盪(1/7; 88%; 4.2; 0.15)、WPW症候群(2/1; 33%; 1.2; 0.28)、原因不明(32/88; 73%;2.1; 0.004)であった。回復率が高い順に、QT延長、心臓震盪、原因不明、心室細動、冠動脈異常、先天性、心筋症、心筋炎、大動脈解離であった。WPW症候群は事例が少なく比較対象から外した。【結論】不整脈性疾患の救命率は器質疾患より良好であるが、現在の検診で発見可能な疾患はQT延長のみである。先天性以外の器質疾患では、心筋症と冠動脈異常の半数以上が救命されていたが、後者の検診での発見は困難である。大動脈解離は現在の検診では発見困難だが、早期発見と予防は突然死の更なる減少に有効と思われる。