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[I-OR129-05] 学校心電図検診でQT延長を指摘された心電図の検討
Keywords:QT延長、Fridericia補正、マニュアル測定
【緒言】学校検診は、QT延長症候群の発見に重要である。学校心電図検診でQT延長と判読された心電図を再検討した。【方法】平成27年度に福島県内で行われた1次検診でQT延長と判読された心電図を対象とした。小児循環器医師が接線法で再計測し、心電図上に印刷されている自動計測値とマニュアル計測値の差、QTc補正方法での差を検討した。【結果】検診を受けた70,557人のうち、1次検診で199人がQT延長と判読された。男女差はなく、中学生が多く抽出された。県内の地域ごとに判断医師が異なったが、1次検診抽出率に地域差を認めた。自動計測とマニュアル計測の比較では、自動計測QTcが有意に長く、差の平均はFridericia補正で29±11msecであった。Bazett補正値にQTc≧0.45 (HR<75)、QTc≧0.50 (HR≧75)の基準を用いると、自動計測値では199人中193人がQT延長と判断されたが、マニュアル計測値を用いると199人中36人がQT延長と判断された。マニュアル計測値に日本小児循環器学会ガイドライン(2013年)のFridericia補正基準値を適用すると、QT延長と判断されたのは199人中76人であった。1次検診の抽出率が高い地域で基準外になる心電図が多く、地域間の差はなくなった。【考察】2006年に出されたガイドラインには自動計測に関する記載はなく、心電図に印刷される自動計測値にBazett補正基準値を適用している判読医の存在が考えられた。微分法による自動解析は接線法によるマニュアル計測よりQTcを長く測定すること、および、従来のBazett補正基準値はFridericia補正基準値よりも抽出率が下がることを判定医に周知し、自動計測でQT延長と判定された心電図は、再度Fridericia補正を用いてマニュアル測定することが精度管理上で必要であると考えられた。