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[I-OR129-06] 健康小児における心血管危険因子としての食後血糖値の検討
キーワード:心血管危険因子、食後血糖値、小児生活習慣病健診
【背景】成人では、心血管イベントの発生に空腹時血糖値よりも食後血糖値が強く関与することが、2001年のDECODE研究等により知られている。【目的】健康小児における食後血糖値を測定し、小児生活習慣病健診における心血管危険因子指標としての有用性を検討する。【対象、方法】市内の小4、中1全員を対象とした小児生活習慣病健診の給食後1~2時間の採血において、2013~2015年度の3年間(受診者数各々2774名、2714名、2631名、計8119名、受診率いずれも90%以上)にわたり血糖値を測定し、各学年性別や年度間での平均値を比較した。さらにパーセンタイル値を算出し、小児の食後血糖値異常基準を検討した。食後血糖値200mg/dlで二次検診を受診した児童生徒に関しては、診断結果を調査した。【結果】食後血糖の平均値(SD) (mg/dl)は、3年間の全小4男女、中1男女で各々103(16)、105(18)、102(22)、107(26)と、やや女子に高い傾向が認められ、年度間での有意差はあるものの、いずれも3~4mg/dl以内の差にとどまっていた。異常値基準となる95パーセンタイル値(mg/dl)は、各々132、138、146、155と中学女子に高い傾向があり、全体では143mg/dlと、成人の耐糖能異常基準140mg/dlに類似する値となった。各々の学年性別に肥満度20%以上の肥満児と非肥満児との平均値を比較したところ、いずれも肥満児に高い傾向があったが、有意差が認められたのは中1男子のみ であった。3年間で200mg/dl以上は13名であり、うち2名に糖尿病が確認された。【結語】小中学生の給食後1~2時間での血糖値は年度間での差が少なく比較的安定しており、成人基準値との整合性も認められるため、小児生活習慣病健診における心血管危険因子指標として有用な可能性がある。