08:40 〜 09:30
[I-OR130-01] 乳児特発性僧帽弁腱索断裂における血小板数の推移と免疫学的機序との関連について
キーワード:乳児特発性僧帽弁腱索断裂、血小板減少、サイトカイン
【背景】乳児特発性僧帽弁腱索断裂は、4-6ヶ月の乳児に多く発症し、心エコーで僧帽弁尖の後方逸脱が認められ、急性心不全を来す原因不明の疾患である。病理所見では僧帽弁腱索で単核球と線維芽細胞の増生が特異的に認められる。入院時と比較して退院時に血小板数が低下しているという報告はあるが、入院時から退院時までの血小板数の動態についての報告はない。
【目的】腱索断裂で観察される特異的な血小板数の変動が、サイトカイン動態で説明可能かを考察すること。
【方法】2003年1月~2015年8月に診断された乳児特発性僧帽弁腱索断裂11例のうち、ECMOを要した2例を除外した9例について収集した血小板数の推移を検討し、うち1例ではサイトカインプロファイルを提出した。
【結果】初診時の血小板数は平均66.8万/μl (25.7-93.9万/μl)であった。初診時をday1とするとday4-5をピークとして平均12.6万/μl (4.1-23.1万/μl)までの血小板減少があり、その後5-7日かけて平均57.1万/μl (38.5-76.5万/μl)まで回復する推移を9例全例で認めた。サイトカインプロファイルは、主に単核球や線維芽細胞の増殖に関与する因子の上昇を認め、病初期にIL-1β, IL-6, IL-8, GM-CSF, の上昇を認めたが、これらはday5-8にかけて低下し、day5-8からはIFN-γ、MCP-1、MIP-1β、TNF-αが上昇した。
【考察】乳児特発性僧帽弁腱索断裂では、発症時の血小板増加に続いて急性期の減少、回復期の増加が観察された。本症におけるサイトカインプロファイルの結果は、病理像での単核球や線維芽細胞の細胞浸潤と矛盾しない結果であった。病初期にIL-6の異常高値を認め、day8には正常値を示すことは、血小板数の変化に関与している可能性がある。
【目的】腱索断裂で観察される特異的な血小板数の変動が、サイトカイン動態で説明可能かを考察すること。
【方法】2003年1月~2015年8月に診断された乳児特発性僧帽弁腱索断裂11例のうち、ECMOを要した2例を除外した9例について収集した血小板数の推移を検討し、うち1例ではサイトカインプロファイルを提出した。
【結果】初診時の血小板数は平均66.8万/μl (25.7-93.9万/μl)であった。初診時をday1とするとday4-5をピークとして平均12.6万/μl (4.1-23.1万/μl)までの血小板減少があり、その後5-7日かけて平均57.1万/μl (38.5-76.5万/μl)まで回復する推移を9例全例で認めた。サイトカインプロファイルは、主に単核球や線維芽細胞の増殖に関与する因子の上昇を認め、病初期にIL-1β, IL-6, IL-8, GM-CSF, の上昇を認めたが、これらはday5-8にかけて低下し、day5-8からはIFN-γ、MCP-1、MIP-1β、TNF-αが上昇した。
【考察】乳児特発性僧帽弁腱索断裂では、発症時の血小板増加に続いて急性期の減少、回復期の増加が観察された。本症におけるサイトカインプロファイルの結果は、病理像での単核球や線維芽細胞の細胞浸潤と矛盾しない結果であった。病初期にIL-6の異常高値を認め、day8には正常値を示すことは、血小板数の変化に関与している可能性がある。