9:45 AM - 10:45 AM
[I-OR203-03] 総動脈幹症に対する外科的治療成績
Keywords:総動脈幹症、肺動脈絞扼術、右室流出路再建
【目的】総動脈幹症(PTA)は自然予後不良の稀な疾患である。新生児期に手術介入を必要とし、根治術での右室流出路再建方法・素材は多岐にわたる。右室流出路に小口径の導管を用いた場合、早期機能不全が危惧される。肺動脈絞扼術(PAB)を先行した段階的根治術では、より大きな口径の導管を選択でき、早期機能不全を軽減することが期待される。当科でも一期的根治術を行なっていたが、現在ではPABを先行した二期的根治術を行っている。当科でのPTAに対する手術成績を報告する。【方法】1991年から2015年までに根治術を施行したPTAは26例あった。そのうち、一期的根治術の症例は15例(P群)、二期的根治術の症例は11例(S群)であった。平均観察期間は6.4±7.6年であった。【結果】P群の根治術時の平均日齢は49日、平均体重は3.07kgであった。右室流出路再建は右室・肺動脈の直接吻合が12例、導管を用いたものが3例あり、12mmが2例、14mmが1例であった。S 群のPAB時の平均日齢は23日、平均体重は2.59kgで、根治術時の平均月齢は15.3ヶ月、平均体重7.54kgであった。右室流出路再建には全例で導管を用い、14mmが4例、16mmが6例、18mmが1例であった。S群の4例のみで末梢肺動脈の形成を必要とした。観察期間中に再手術を要したのはP群の6例のみであり、死亡例はP群で6例、S群で1例のみだった。再手術例はいずれも右室流出路または肺動脈の狭窄が原因であった。根治術施行した26例の5年生存率は66.3%、P群、S群では各々58.7%、80.0%で、有意差は認めなかった。また、5年再手術・死亡回避率は51.0%、P群、S群では各々38.1%、80.0%となり、S群で有意に良好であった(P<0.05)。【結論】当科でのPTAに対する手術は良好な成績を得ることができた。また、PABを先行させた二期的根治術では、末梢肺動脈の狭窄が問題となることがあるが、より大きな導管の使用が可能で再手術回避率を改善する可能性が示唆された。