9:45 AM - 10:45 AM
[I-OR203-05] 比較的高年齢児のRoss手術前後から中期遠隔期のauto graftの形態変化
Keywords:Ross手術、小児、autograft
【目的】比較的高年齢の小児Ross手術症例におけるautograftの形態の経過を検討した。【方法】対象は2003年以後当院で施行した幼児以上のRoss手術7例とRoss-Konno手術1例の計8例である。Autograftの手術前後から遠隔期の形態変化を調査するため、弁輪、valsalva、sinotubular junction (STJ)の径を測定し大動脈弁のz-scoreにて標準化した。手術時年齢は12.6±6.2歳(3.8-24.6歳)で3.8歳と8.6歳の2例以外は10歳以上であった。診断はAS 3例、AR 1例、ASR 4例であった。術後観察期間は4.6±4.5年(0.1-10.6年)である。【結果】早期遠隔期死亡はなし。術直後のneo-ARはnone 3例、trivial 5例であり、最終確認時のneo-ARはnone 1例、trivial 4例、mild 3例と軽度増加が見られていた。Autograftの形態は、弁輪径のz-scoreが術前-0.08±1.0→術後1か月0.10±2.0→最終確認時-0.20±3.5と体の成長に見合った成長を示したのに対し、STJ径のz-scoreは術前0.51±1.1→術後1か月2.7±2.6→最終確認時2.5±2.5と術後1か月より、すでに正常大動脈弁形態より拡大が見られており、術前の肺動脈弁形態と比較しても拡大が見られていた。術後1か月と最終確認時との比較ではそれ程変化は見られなかった。このSTJ径と同様の傾向はvalsalva径にも見られていた(z-score:術前0.30±2.4→術後1か月2.9±2.6→最終確認時3.2±3.2)。【結語】比較的高年齢の小児Ross手術における中期遠隔期までの観察で、術後にautograftの弁輪は成長に見合った変化を示し、問題となるARは認められなかった。一方でSTJとvalsalvaは術直後の時期から形態的拡大が見られており、中期遠隔期も同様な形態を示していた。長期遠隔期のARやautograftの形態変化については更なる観察が必要である。