10:50 AM - 11:50 AM
[I-OR204-01] sinusoidal communication合併の純型肺動脈閉鎖におけるFontan術後左室機能
Keywords:PA-IVS、sinusoidal communication、left ventricular function
[背景,目的]有意なsinusoidal communication(SC)を伴う純型肺動脈閉鎖(PA-IVS)では,Fontan術終了前には静脈血が冠動脈に流れるだけでなく,冠動脈の内膜肥厚による狭窄を認めることが多く,右室減圧による冠血流低下を予防しても,冠虚血による左室機能の低下が危惧される。SC合併PA-IVSのFontan術後の左室機能の報告は少なく,その検討を行った。[対象]1990年以降のPA-IVS 54例のうちFontan術を施行し,術後心カテ評価をした20例。[方法]SC合併(13例,SC群)と非合併(7例,N群)で,Fontan術前と,術後の直近の心カテ検査でのLVEF,LVEDV,LVEDP,心係数(CI),後負荷(実行動脈エラスタンス,Ea),収縮性(収縮末期エラスタンス,Ees),Ea/Ees,心エコー検査でのLVのTei-indexとBNPを比較した。[結果]Fontan手術時年齢はSC群5.2±3.8(平均±標準偏差),N群4.9±2.1歳(n.s.)。SC群13例中2例でFontan術時に右房送血を行った。Fontan術後観察期間は7.8±5.5,11.3±5.3年,心カテ施行時期は術後5.6±5.9,4.1±4.8年(ともにn.s.)であった。心電図に異常Q波を認めたのはSC群の2例で,いずれも出生直後から認めた。心機能については, Fontan術前,術後ともにLVEF(SC群術前57±6→術後57±5,N群57±6→57±7%),LVEDV(192±63→117±21,241±43→100±21%正常比), LVEDP,CI,Tei-index,Ea/Eesに有意差は無かった。Ea(1.4±0.3→1.8±0.3,1.0±0.3→2.1±0.3 mmHg/ml/m2)は術前SC群で高かったが,術後に差は無かった。Ees(1.4±0.4→1.8±0.3,1.1±0.2→2.4±0.5mmHg/ml/m2)は術前には有意差はなく,術後は両群とも増加したが有意にSC群の方が低かった。術後のBNPは24.6±19.5,9.3±6.1pg/mlと有意にSC群の方が高かった。異常Q波を認めたSC群の2例を除外しても,SC群の術後Eesは有意に低く,BNPは有意に高かった。[まとめ]純型肺動脈閉鎖のsinusoidal communication合併例は非合併例と比較し,Fontan術後の左室収縮性が悪く,BNPも高値であった。