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[I-OR204-03] Dams-Kaye-Stansel吻合における遠隔期半月弁機能の検討
キーワード:DKS、半月弁機能、外科治療
【目的】Damus-Kaye-Stansel(DKS)吻合後の遠隔期半月弁機能について検討した。【対象と方法】1992年から2015年に施行したDKS吻合を含む手術症例(Norwood手術は除外)90例(機能的単心室81例)を対象とした。手術時月齢23.1±23.2ヶ月、体重9.2±4.5kgであった。並施術式はBDG61例、TCPC13例、Yasui手術10例、SP shunt6例であった。吻合法はend-to-side(ES)が49例、double barrel(DB)が41例であった。術前半月弁逆流を指摘されていた症例は21例であった。術後半月弁逆流の新規発生/増悪について発生頻度と危険因子を検討した。平均観察期間は5.2±4.9年であった。【結果】早期死亡2例(誤嚥性肺炎1例、肺高血圧発作1例)、遠隔期死亡6例(心不全死1例、非心臓死5例)を認めた。遠隔期死亡(非心臓死)の1例に術後半月弁逆流(mild)の出現を認めた。累積生存率は5年10年ともに90.4%であった。mild以上の半月弁逆流発症を19例(解剖学的大動脈弁/肺動脈弁 4/15例)認めた。逆流発症回避率は1年94.3%、5年89.6%、10年88.3%であった。19例中4例がmoderate以上に進行し、うち2例で遠隔期に外科治療介入(弁置換1例, 大動脈弁閉鎖1例)を要した。残る15例中6例では逆流発症から0.6±0.2年でtrivial以下に改善した。術前半月弁機能、弁輪径、大血管径比、心室形態、mPABの有無では逆流発症頻度に差はなかったが、多変量解析にて手術時月齢が半月弁逆流発症のリスク因子(p=.0456, HR=1.0427)である事が示された。大血管位置関係と吻合法による逆流発症頻度の比較では、平行両大血管に対するDB法が11.1%と最も低く、平行両大血管に対するES法が31.0%と最も高かったが有意差は認めなかった。【結語】DKS吻合後の遠隔期の半月弁機能は良好に保たれていた。手術時月齢が術後半月弁逆流の危険因子であることが示された。半月弁逆流発症回避には大血管の位置関係を考慮した吻合法選択の重要性が示唆された。