第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療遠隔成績2

一般口演2-04(I-OR204)
外科治療遠隔成績2

2016年7月6日(水) 10:50 〜 11:50 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
川田 博昭(大阪府立母子保健総合医療センタ- 心臓血管外科)

I-OR204-01~I-OR204-06

10:50 〜 11:50

[I-OR204-04] 右室流出路再建におけるbulging sinus付きfan-shaped ePTFE valved conduitの遠隔成績(本邦65施設共同研究)

浅田 聡1, 山岸 正明1, 宮崎 隆子1, 前田 吉宣1, 加藤 伸康1, 本宮 久之1, 山本 裕介2, 夜久 均3 (1.京都府立医科大学小児医療センター 小児心臓血管外科, 2.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 3.京都府立医科大学 心臓血管外科)

キーワード:右室流出路再建、ePTFE valved conduit、遠隔成績

【背景】先天性心疾患の外科治療において右室流出路拡大形成を要する疾患は多岐にわたり,有効な肺動脈弁機能を持つ素材が望まれる.本邦ではfan-shaped ePTFE valveを備えたbulging sinus付ePTFE conduitが多施設で採用されており,その中期遠隔成績はほぼ満足できることを報告してきた.今回,本邦65施設による多施設共同研究により本導管の遠隔成績を検討した.【方法】2001年から2015年まで当施設で作製した本導管を右室流出路再建に使用した本邦65施設における881例に関してアンケート調査を行い,その遠隔成績を検討した.手術時の年齢は中央値4.1歳(0日-56.8歳),体重は中央値13.0kg(2.1-91.3kg).術式はRastelli型手術782例,Ross型手術99例.導管径は,小口径(8-16mm)で377例,大口径(18-24mm)で502例.観察期間は3.9±3.1年(最長14.0年)であった.【結果】再手術回避率は5年, 10年で96.1%, 94.3%であった.大口径留置群は,5年,10年で99.4%,97.6%で, 小口径留置群でも,5年,10年で92.1%,90.2%であった.導管摘出は31例(3.5%)のみであり,その中で弁不全による再手術介入は狭窄例3例のみであった.他病変介入時の導管交換は3例,感染による介入は6例(うち導管起因は1例のみ),末梢PSに伴う介入は10例,成長に伴う相対的狭窄は8例であった.留置された導管はmoderate以上の弁逆流を示したものは38例(4.2%)のみで,右室肺動脈間圧較差も13.0±12.0mmHgにとどまった.臨床上問題となる血栓塞栓症は認めなかったが,摘出例における病理検討では微少石灰化が認められた.【結語】fan-shaped ePTFE valveを備えたbulging sinus付ePTFE conduitの遠隔成績もほぼ満足のできるものであった.小口径導管例も成長に伴う大口径導管への交換まで良好な機能を有していた.また感染症などの合併症もContegra等の異種導管に比して格段に少なく,現時点において最も優れた導管であると考えられた.今後遠隔成績向上にために石灰化阻止など更なる改良が必要である.