The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム1(I-S01)
Berlin Heart導入後の小児重症心不全治療と心臓移植

Wed. Jul 6, 2016 8:40 AM - 10:10 AM 第A会場 (天空 A)

座長:
福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)
鈴木 孝明(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

I-S01-01~I-S01-07

8:40 AM - 10:10 AM

[I-S01-04] 小児重症心不全管理における心臓再同期療法の果たす重要性

坂口 平馬 (国立循環器病研究センター 小児循環器科)

はじめに、本邦では移植法案改正後も小児心臓移植の機会はまだ少ないのが現状である。小児心不全症例の多くは拡張型心筋症であり、その生命予後は悪く、発症から5年で33%が死亡または心臓移植を受けることになることが知られている。
 我々の施設での2000年以降入院の乳児期(2歳未満)発症の拡張型心筋症の10年生存率は93%、心臓移植(海外渡航)を死亡とすると、その10年生存率は84.5%となる。その内科管理の変遷を踏まえて、2000-2005年を前期、2006-2014年を後期とし、治療内容の変遷を踏まえて比較してみると、強心薬の使用が減り、補助循環装置および心臓再同期療法(CRT)といった非薬物治療が増えてきている。補助循環装置については、昨年8月にBerlin Heart EXCORの保険償還後、その需要は増加の一途をたどっている。一方でEXCOR装着可能施設は3施設に限られており、そのcapacityは十分とは言いがたい。現状の日本においては急性期心不全管理、慢性期心不全管理の薬物・非薬物治療の充実が重要である。
 本日は、Berlin Heart導入を機に、CRT治療の実例を提示しながらその効果および適応の見極めを考えていきたい。
 CRTは成人心不全治療においては十分に確立された治療となり、その効果はmorbidity、mortalityを改善することがすでに多くの研究で明らかにされている。しかし小児ではその植え込みは開胸でのアプローチが必要となり、侵襲的治療となり、device本体も乳児に植え込むには体格に比して大きなものしかなく経験値も少ない。しかし、我々は乳児期発症の拡張型心筋症6例に対して、乳児期に5例、学童期に1例に行い、良好な経過をたどっている。その効果は植え込み6か月で劇的な拡張末期径の縮小と収縮能の改善を得ている。
 CRTを含めた非薬物治療を併用し患者教育を徹底した包括的治療で小児の心筋症のBridge to Transplantの充実になることを期待している。