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[I-S03-04] 小児心不全におけるレニン・アンギオテンシン系阻害薬の役割
アンギオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE-I)、アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は心筋組織の心筋肥大や線維化を抑制し、慢性心不全治療においていわゆる「心筋リモデリング抑制」を主座とした薬剤として発展し、成人では数多くの大規模臨床試験によってその有用性が示されてきた。小児心不全におけるACE-I/ARBの大規模臨床試験はなく、その背景に心不全の原因となる病態の多様性があることは否めない。しかしながら実際は小児において心筋リモデリング抑制を要する場面は数多く存在し、ACE-I/ARBは様々な状況下で常にその適応を考えておくべき薬剤である。2015年の小児心不全薬物治療ガイドライン改訂版ではACE-I/ARBの適応について乳児・小児心不全ステージ分類を用いて一定の見解を示したが、心不全リスク因子の認識と無症候性心不全の早期診断が重要であることが強調されている。今回は種々の病態に応じた小児心不全におけるACE-I/ARBの適応と導入の実際についてこれまでの知見や自験例を加えて解説したい。