14:40 〜 16:10
[I-S04-04] “クライオアブレーションについて”
1990年代初頭に本邦に導入されて以来、あらゆる種類の不整脈に対して高周波カテーテルアブレーション治療法は応用されてきた。しかしながら、その有用性のみならず内包する負の側面も問題視されるようになった。例えば、高周波を一旦通電開始すれば、途端に非可逆的な病変を作成してしまうことや、通電部位の内皮細胞を傷害することにより、通電部位の血栓形成性が高まるなどが挙げられよう。一方、2014年から本法に臨牀導入された冷凍アブレーション治療システムは、高周波の内包する問題点のいくつかをクリアし、臨牀成績も高周波に比肩する報告も多くなされてきた。当初、発作性心房細動に対する肺静脈隔離術用として、冷凍バルーンカテーテルカテーテルと、補完的な8mmチップの冷凍focalカテーテルが認可された。このfocalカテーテルは、バルーンカテーテルによる肺静脈隔離術時に生じた肺静脈―左房間の伝導ギャップを治療する目的で認可された。そして本年4月より、遂に心房細動以外の各種不整脈に適用可能な4および6mmチップの冷凍focalカテーテルが臨牀認可されるに至った。注目すべきは、8mmチップでは不可能であったが、4,6mmチップで可能となる、8mmチップの場合のような一気にー80℃まで冷却するのではなく、-30℃程度の低温で維持できることであろう。このことにより、いわゆるice-mappingが可能となる。Antero-septal Kent bundle例や、房室結節回帰頻拍例で、compact AV nodeを傷害するような危険性がある例では、予めice-mappingを行うことにより、正常房室伝導系への非可逆的障害を回避できる可能性があることである。言うまでもなく、アブレーションにより正常刺激伝導系を強く傷害すれば、ペースメーカー植込術が必要となり、若い患者、とりわけ小児例では絶対に回避したい合併症であろう。また、カテーテル操作自体による物理的な問題で起こる心組織壁穿破はともかく、高周波通電自体による心組織壁穿通の危険性も、冷凍システムの場合は有意に少ないことが期待され、特に小児例での心筋壁厚が薄い例などでは、有用な側面であろうと考えられる。
本シンポジウムでは、この冷凍システムについて自験例を踏まえて概説する。
本シンポジウムでは、この冷凍システムについて自験例を踏まえて概説する。