第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム4(I-S04)
最新の不整脈診断と治療

2016年7月6日(水) 14:40 〜 16:10 第A会場 (天空 A)

座長:
住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)

I-S04-01~I-S04-05

14:40 〜 16:10

[I-S04-05] ファロー四徴術後頻拍性不整脈に対する肺動脈弁置換術の効果

宮崎 文, 根岸 潤, 坂口 平馬, 羽山 陽介, 則武 加奈恵, 津田 悦子, 帆足 孝也, 鍵崎 康治, 市川 肇, 大内 秀雄 (国立循環器病研究センター 小児循環器科)

【背景】ファロー四徴術後患者 (TOF)における肺動脈弁置換術 (PVR)は心室性頻拍 (VA)の合併率を低下しうるが、時期を逸したPVRは心室頻拍 (VT)・突然死の抑制に効果がないと報告された。しかし、PVRの心房性不整脈に対する効果の報告はない。【目的・方法】2005年3月-2015年12月までPVRを行ったTOF 16人を対象に、術前 (pre-)・術後 (post-)の心室容量、心機能、心房容量及び頻拍重症度スコア (ArS; 0-12点) (Correa R et al. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2015; 8: 318-325)の変化を検討した。心室容量・心機能は心室造影で評価し、心房容量はエコーで計測したright atrial area index (RAAI)とleft atrial volume index (LAVI)を用いた。【結果】PVR時年齢は33.3±6.0歳。pre-QRS幅は176±28 msで、fragmented QRSは6人 (38%)認めた。心室性頻拍 (VA)は持続性0人・非持続性6人 (38%)、心房性頻拍 (AA)は持続性7人 (54%)・非持続性3人 (23%)に合併した。pre-ArS (2.8±2.2点)はpre-RAAI (16.4±5.3 cm2/m2)と正相関 (p=0.041)したが、術前の右室拡張末期容量 (pre-RVEDVI; 123-250, 中央値 154 ml/m2)、左室拡張末期容量 (pre-LVEDVI; 95.6±23.4 ml/m2)、pre-LAVI (5.4-64.8, 中央値 10.6 ml/m2) と相関なかった。post-ArS (0-6, 中央値 1点)はpre-ArS、pre-RVEDVI、pre-RAAIと正相関した (p=0.0075, p=0.0091, p=0.031)。post-RVEDVI (61-234, 中央値 87 ml/m2)、post-RAAI (14.7±4.3 cm2/m2)は術後に低下したが、ともに術前の値と正相関し (p=0.011, p=0.0019)した。経過観察期間中に突然死例を1人認めた。【考察】pre-ArSはpre-RVEDVIではなく、pre-RAAIと正相関した。これはVAではなく、AAの合併が多い母集団であったためと考える。【結論】PVR後の頻拍重症度はpre-ArS, pre-RVEDVI, pre-RAAIに規定される。VAのみならず、難治性AAを発症する前の早期のPVRが望まれる。