2:35 PM - 4:05 PM
[I-S05-01] 4D-MRIを用いて解明するフォンタン循環の新たな知見
【要約】
【背景】外科的進歩により、単心室形態を有する疾患群に対する生命予後が飛躍的に改善した。しかし、フォンタン術後の血行動態はいまだ不明な点が多く、遠隔期における運動耐容能の低下など、様々な合併症が問題となっている。本研究の目的は、4D-MRIを用いて血流とエネルギー損失を可視化することによる、血行動態解明への有用性を検討した。
【方法】フォンタン術後遠隔期の15症例(男性12例、女性3例、平均年齢23.0 ± 8.6歳)を対象とした。心室容積の計測にはcine MRIを用い、血流解析にはphase-contrast MRIを用いた。大静脈肺動脈接合部(cavopulmonary connection)における流線とエネルギー損失を4D-MRIを用いて可視化した。また、同時期に血液検査も施行し、各パラメータとの関係性を明らかにした。
【結果】フォンタン手術時の平均年齢は6.1 ± 4.3歳であった。4D-MRIで可視化したエネルギー損失は、特に上大静脈(SVC)と肺動脈の接合部においてより多く認められた。1心拍における平均のエネルギー損失は0.32 ± 0.21 mWであった。心室の駆出率(EF) (r = 0.146; P = 0.378)や拡張末期容積(EDVI) (r = 0.218; P = 0.320)は平均エネルギー損失と相関関係を認めなかった。平均エネルギー損失は、SVCの1回拍出量と負の相関関係を示し(r = -0.881; P = 0.002)、血清Ⅳ型コラーゲン値と正の相関関係を示した(r = 0.829; P = 0.021)。
【結論】4D-MRIを用いてフォンタン循環のcavopulmonary connectionにおける、流線とエネルギー損失を可視化した。高いエネルギー損失はSVCの流入を阻害する可能性が示唆された。4D-MRIを用いて血流を可視化することは、フォンタン術後遠隔期における血行動態を解明する上で有用であると考えられる。
【背景】外科的進歩により、単心室形態を有する疾患群に対する生命予後が飛躍的に改善した。しかし、フォンタン術後の血行動態はいまだ不明な点が多く、遠隔期における運動耐容能の低下など、様々な合併症が問題となっている。本研究の目的は、4D-MRIを用いて血流とエネルギー損失を可視化することによる、血行動態解明への有用性を検討した。
【方法】フォンタン術後遠隔期の15症例(男性12例、女性3例、平均年齢23.0 ± 8.6歳)を対象とした。心室容積の計測にはcine MRIを用い、血流解析にはphase-contrast MRIを用いた。大静脈肺動脈接合部(cavopulmonary connection)における流線とエネルギー損失を4D-MRIを用いて可視化した。また、同時期に血液検査も施行し、各パラメータとの関係性を明らかにした。
【結果】フォンタン手術時の平均年齢は6.1 ± 4.3歳であった。4D-MRIで可視化したエネルギー損失は、特に上大静脈(SVC)と肺動脈の接合部においてより多く認められた。1心拍における平均のエネルギー損失は0.32 ± 0.21 mWであった。心室の駆出率(EF) (r = 0.146; P = 0.378)や拡張末期容積(EDVI) (r = 0.218; P = 0.320)は平均エネルギー損失と相関関係を認めなかった。平均エネルギー損失は、SVCの1回拍出量と負の相関関係を示し(r = -0.881; P = 0.002)、血清Ⅳ型コラーゲン値と正の相関関係を示した(r = 0.829; P = 0.021)。
【結論】4D-MRIを用いてフォンタン循環のcavopulmonary connectionにおける、流線とエネルギー損失を可視化した。高いエネルギー損失はSVCの流入を阻害する可能性が示唆された。4D-MRIを用いて血流を可視化することは、フォンタン術後遠隔期における血行動態を解明する上で有用であると考えられる。