第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム5(I-S05)
小児の画像診断の進歩:血流と機能を診る

2016年7月6日(水) 14:35 〜 16:05 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
安河内 聰(長野県立こども病院 循環器センター)
石井 正浩(北里大学医学部 小児科)

I-S05-01~I-S05-05

14:35 〜 16:05

[I-S05-04] 造影超音波検査による動脈硬化性病変進展に伴う栄養血管発達と血管新生の評価

能登 信孝, 小森 暁子, 加藤 雅崇, 渡邊 拓史, 中村 隆広, 神山 浩, 鮎沢 衛 (日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野)

【背景】栄養血管(VV)の発達に伴うプラーク内血管新生(NV)は動脈硬化病変進展の指標とされているが、若年成人家族性高脂血症(FH)例での意義は不明な点が多い。【目的】造影超音波検査(CEUS)を用いて総頚動脈外膜側から壁内に流入するVVを観察し、FH例の病変進展に伴うVVの変化を半定量的に評価する。【方法】対象はプラークの認められない若年成人FH21例(平均年齢23.7歳)と年齢をマッチさせた健常対照(C群)8例である。頚動脈内膜中膜複合体厚(mCIMT)と弾性特性(Ep)を測定後超音波造影剤ソナゾイド® 0.01ml/kgをbolus投与し、超音波造影モード(MI:0.13-0.16)で分岐部near wallのVVを観察した。また同部の壁内(W)と内腔(L)にROIを設定し、time-intensity curveのEnhanced Intensity (EI)[Peak-Baseline]とその比EIW/EILを求めた。FH例は無投薬の16例をmCIMT年齢別基準値の+2 SDから2群(F-1群: mCIMT<0.56mm、F-2群: mCIMT≧0.56mm)とスタチン治療群(S群)5例の3群に分け各指標を比較した。【結果】mCIMTとEpはC群、F-1群、F-2群、S群の病変進展順に増加した。一方EIW/EIL (0.30±0.04 vs. 0.40±0.12 vs. 0.63±0.01 vs. 0.31±0.05) はC群に比べF-1群(p=0.04)、F-2群(p<0.01)で有意に高値をとったが、S群 (p=0.93)とに差は認めなかった。またEIL (p=0.81)、年齢(p=0.45)、性(p=0.77) に4群間で差は認められなかった。S群を除く検討では、EIW/EILはEIW (r=0.93)、mCIMT (r=0.79)、Ep (r=0.70)と有意相関が得られ、mCIMTに最も関与する因子は EIW/EIL (β=0.46, p=0.02)であった。【結論】CEUSでのEIの増加はNVの増生であることが動物実験および生体検体から実証されている。今回プラークの存在しない若年成人FH例においても病変進展に伴いVV発達とNVの増生をCEUSで確認できた。またスタチン治療群でEIが低値であることはNVの増生抑制を意味し,CEUSは病勢と治療効果を判定できる新たな検査法であることが示唆された。