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[I-S05-05] Fontan循環における肺動脈・肺静脈・上大静脈・導管の血流パターンが示唆するFontan静脈血流生理の特徴
【背景】正常ニ心室の肺静脈(PV)の血流は、主に左室拡張能と右室収縮の影響を受け、S波はニ分画を持ちS波の流量はD波より大きい。体静脈の血流は右室拡張の影響でA波・C波とV波の3相性でありV波よりもA波の方が流量が多い。Fontan循環においてはPV,体静脈血流に影響を及ぼす右心を持たない特性から、肺動脈(PA)のみならず、PVや体静脈の血流パターンが異なる可能性があり、その解明はFontan循環生理に対する理解を深め日常管理に役立つ可能性がある。【目的】Fontan循環における各血管血流パターンの関連を明らかにし、同循環生理を考察する。【対象】Fontan手術後17例(平均8.8歳±9.0歳)。【方法】MRIのphase-contrast法を用いて、上大静脈・導管・右PA・左PA・右PV・左PVの血流量ピーク(ml/sec)・血流パターンを計測した。体静脈はA波・V波の最大流量、肺静脈はS波・D波の最大流量を計測した。またエコーにて僧帽弁輪速度e’と僧帽弁流入E波速度を計測した。【結果】右PVにおいて17例中11例、左PVにおいて12例の流量はS波<D波であった。これらの症例ではe’が6.0cm/sec未満もしくはE/e’が14.0を超えた症例は認められなかった。右PAにおいて17例中9例、左PAにおいて16例中11例で流量はA波<V波であった。両側PAの流量がA波<V波であった8症例の両側PVの流量はS波<D波であった。導管における流量は16例中10例でA波<V波であった。上大静脈でA波<V波であったのは17例中2例のみであった。【考察】Fontan循環においては、右室欠如の影響から心室拡張障害が無くともPVはS波よりもD波の方が流量が多くなり、拡張障害の評価に別途の基準を要する。さらに、PA・導管の血流は体心室の拡張の影響を強く受ける一方で、上大静脈血流は体心室収縮の影響を受けている可能性、さらに心室機能―静脈血流連関の評価に役立つ可能性が示唆された。