第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム7(I-S07)
Failing subaortic RV

2016年7月6日(水) 15:35 〜 17:05 第B会場 (天空 センター)

座長:
市川 肇(国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
八尾 厚史(東京大学 保健・健康推進本部)

I-S07-01~I-S07-05

15:35 〜 17:05

[I-S07-04] 房室錯位に対する治療戦略 (Conventional repairから心移植まで)

市川 肇, 大内 秀雄, 白石 公, 鍵崎 康治, 島田 勝利, 木戸 高志, 東田 昭彦, 帆足 孝也 (国立循環器病研究センター 小児心臓外科)

修正大血管転位(ccTGA)はスペクトラムの広い疾患であるが、遠隔期に起こる右心不全の有無によりその予後が規定される。心室中隔欠損(VSD)の有無、肺動脈狭窄/閉鎖の有無などにより治療介入の時期とその手技は大きく異なる。施設の方針によっても大きく異なるので未だに一定の見解に至っているとは言い難いのが現状である。成人でVSDのない症例にダブルスイッチ術を行うということは正当化され得ない手技であるということは言うに及ばないが、VSDがあり、三尖弁閉鎖不全のある若年症例でもダブルスイッチ手術の高いリスクを理由に選択しないということもまだまだ正当化されうる。しかし我々はその遠隔期における優位性から適応を選んでダブルスイッチ手術を行う方針としている。その適応はa:将来の右心不全が予見できる症例で、b:肺動脈狭窄のない症例では肺動脈絞扼術を経て体格の発育を待って動脈スイッチとSenning手術の組み合わせで、c:大きな心室中隔欠損と肺動脈閉鎖または狭窄の場合は両大血管右室起始の場合も含めてSenning手術とRastelli型手術を、d:肺動脈狭窄が軽度の場合は心室中隔欠損から大動脈への経路がより遠くDKS手術をcに追加する方針としている。
10歳代あるいは成人期に発見されあるいはそれまで無治療で経過してきたccTGAにおいては将来発生する三尖弁閉鎖不全、右心機能不全に対しては弁手術あるいは成人の心不全治療(LVAS, 移植)などがリスクとの兼ね合いからみて合理的な選択肢と考えられる。本発表ではConventional repair, 三尖弁置換、ダブルスイッチ、心不全の代替治療などについて適応の検討とその予後の比較を行う。