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[II-OR102-03] 先天性大動脈弁上狭窄(SVAS)におけるWilliams症候群合併の有無についての検討
Keywords:先天性大動脈弁上狭窄、Williams症候群、冠動脈狭窄
【目的,背景】先天性大動脈弁上狭窄(SVAS)は、比較的稀な疾患でWilliams症候群に合併することが知られている。弁上狭窄の急速な進行や冠動脈狭窄を合併し、予後は必ずしも良好とはいえない。今回、SVASの症例をWilliams症候群の合併の有無で比較した。【方法】2001年から2015年まで当院に通院、入院したSVASの症例を後方視的に検討した。Williams症候群の診断は染色体検査で確定したものとした。【結果】SVASは17例で、Williams症候群(W群)6例(男1女5)、非合併群(N群)11例(男4女7)。全員が心雑音を指摘され、心エコーでSVASと診断されていた。W群1例で兄弟が筋ジストロフィーを合併していた。N群では3例で家族歴がありそのうち2例は姉妹例であった。当院初診時の年齢はW群: 0.23歳、N群: 0.17歳で有意差はなかった。初診時のSVASの圧格差はW群:N群44:42mmHg、初回治療介入時の圧格差は73.5:61mmHgでともに有意差はなかった。治療介入時のSVASの進行はW群:N群33:10mmHgであった。1歳以下での治療介入はW群3/6例、N群3/11例であった。死亡は1例ずつで、W群では検査時の麻酔導入後血圧低下し、緊急手術となった症例であった。N群は左冠動脈拡張を合併し術中出血多量にて死亡した。冠動脈狭窄を手術されている症例はW群で1例、N群で2例であった。カテーテル治療はN群のみで施行されたが、合併する肺動脈狭窄に対して行われた症例以外効果なくその後手術となっている。【結論】SVASにおいて非手術例はN群のみであった。W群では、SVASが急速に進行し1歳以下で手術を施行する傾向がある。N群でも乳児期早期に手術が必要になる症例があり、注意が必要である。家族歴のある症例もみられ、染色体検査のみではなくエラスチン関連遺伝子の検索が可能になれば、病態のさらなる解明につながる可能性がある。