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[II-OR102-05] 小児先天性心疾患術後にデクスメデトミジンを使用したDown症乳児患者における心有害事象および離脱症状についての検討
Keywords:デクスメデトミジン、離脱症状、周術期管理
【背景】デクスメデトミジンは小児先天性心疾患術後の鎮静薬として広く使用されているが、Down症乳児患者におけるデクスメデトミジン投与に合併した心有害事象および離脱症状について検討された報告はない。【目的】Down症乳児患者におけるデクスメデトミジンの心有害事象や離脱症状にかかわるリスク因子を検討する。【方法】先天性心疾患術後の乳児患者124例(Down症患者群30例、年齢適合対照患者群(コントロール群)94例)を対象とした。理学所見、デクスメデトミジン最大投与量、蓄積投与量、投与期間、離脱方法、他の鎮静薬の使用の有無を評価した。心有害事象(低血圧、徐脈)はNaranjo scoreを用いて、離脱症状(高血圧、頻脈)はWithdrawal Assessment Tool version 1 (WAT-1)を用いて評価解析した。【結果】患者理学所見に差はなかった。Down症患者群8例(26.7%)、コントロール群12例(12.8%)で心有害事象がみられ、心有害事象群のNaranjo score中央値は6であった。心有害事象のうち徐脈に関しては多変量解析でDown症候群が独立したリスク因子であった(Odds 3.500, P=0.025)。またDown症患者群3例(10.0%)、コントロール群15例(16.0%)で離脱症状がみられ、WAT-1中央値は3であった。多変量解析で、デクスメデトミジンの急速離脱が独立したリスク因子であった(Odds 4.276, P=0.007)。【考案】Down症患者では自律神経の機能障害、血圧心拍応答能の低下をきたすことがあり、デクスメデトミジンの心有害事象の一つである徐脈を起こしやすい傾向にあると考えられた。またデクスメデトミジン投与における離脱症状を防ぐためには、急速離脱を避け慎重に漸減中止を図ることが重要であると考えられた。