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[II-OR103-01] 下行大動脈の位置によるRAAの新しいスクリーニング法
キーワード:胎児心エコー、右側大動脈弓、下行大動脈
【目的】右側大動脈弓(RAA)の80%以上に心血管奇形を合併する。また、円錐動脈幹奇形では20-40%がRAAを合併する。RAAを胎児診断に活用するには、大動脈弓と気管を明瞭に同定する必要があり、Three Vessel Trachea View(以下3VTV)の観察が必須である。しかし、3VTVのスクリーニングは技術的に難易度が高い。4CVや5CVでの観察からRAAをスクリーニングする簡便な手法を開発する意義は高い。本研究はFour Chamber View(4CV), Five Chamber View(5CV), Three Vessel View(3VV)における胸部下行大動脈の位置から、RAAの簡便なスクリーニング法を開発することを目的とした。【対象と方法】RAA 63例および左側大動脈弓(LAA)77例を対象とした。在胎週数は20~40週で両群間に差はなかった。気管の左方を大動脈弓が通過する症例をLAA,右方を通過する症例をRAAと診断した。動画またはSTICで保存されている画像データを解析し、4CV,5CV,3VVにおける下行大動脈の位置を検討した。【結果】LAAではそれぞれ、83.1%、92.2%、98.7%の症例で脊柱の左前方に位置していた。残りの症例はすべて脊柱の前方に位置しており、脊柱の右前方に位置している症例はなかった。RAAにおいては、それぞれ71.4%、87.7%、93.7%の症例で脊柱の右前方に位置し、残りの症例は全て脊柱の前方に位置していたが、脊柱の左前方に位置している症例はなかった。【考案】4CV,5CV.3VVにおいて下行大動脈が脊柱の左前方に位置していれば、LAAと判断し、脊柱の右前方に位置していれば、RAAと判断する。脊柱の前方に位置している場合は、その断面判定は不能とし、より上方の断面での下行大動脈の位置で判断する。この方法は手技的に簡便であり、短時間で実施可能であるにもかかわらず、93.7%の症例で、RAAをスクリーニングできることがわかった。【結語】4CV,5CV,3VVにおける下行大動脈の位置から、RAAの簡便なスクリーニング法を開発した。