第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

胎児心臓病学2

一般口演1-04(II-OR104)
胎児心臓病学2

2016年7月7日(木) 09:35 〜 10:25 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
森 善樹(聖隷浜松病院 小児循環器科)

II-OR104-01~II-OR104-05

09:35 〜 10:25

[II-OR104-03] 当院における左心低形成症候群の胎児診断からのリスク分類に基づいた治療計画

近藤 麻衣子1, 馬場 健児1, 栗田 佳彦1, 栄徳 隆裕1, 重光 祐輔1, 福嶋 遥佑1, 平井 健太1, 大月 審一1, 佐野 俊二2, 笠原 真悟2 ,早田 桂3 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学医歯薬総合研究科 心臓血管外科学, 3.岡山大学医歯薬総合研究科 産婦人科学)

キーワード:左心低形成症候群、胎児診断、周産期管理

【はじめに】当院ではHLHSに対して胎児診断をもとに、治療適応が問題になるものや出生直後の治療を要するhigh risk群(H群), 出生後管理に注意を要するintermediate risk群(I群)、それ以外のstandard risk群(S群)の3群に層別化し治療に取り組んでいる【対象・方法】2011年11月から2015年11月までに当院で胎児期から管理したclassicalHLHS30例のうち治療拒否1例を除く29例を対象。小児科、心臓血管外科、産科合同カンファレンスで層別化し、H群はintactIAS、胎児水腫、PAV異形成、肺低形成例を基準とした。肺うっ血危惧例はPV flow patternをもとにforward/reverseVTI(F/R)≦3をH群、3<F/R≦5をI群、5<F/RをS群とした。三心房心やTAPVC合併例はI群以上としF/Rの程度で決定した。この基準で層別化した3群の治療経過を後方視的に検討【結果】H群6例:intactIAS+胎児水腫1、PSR+TR2、最重症型横隔膜ヘルニア合併1、三心房心(F/R2)1、restrictiveFO(F/R2.7)1。I群5例:restrictiveFO(F/R4,4.7)2、三心房心+levocardinal vein(F/R10)1、TAPVC(F/R5.2)1、PAPVC1。S群:18例。帝王切開出生:H群5(子宮内胎児死亡1を除く)、I群4、S群7。H群のintactIAS+胎児水腫例と三心房心は出生直後の外科的治療介入、restrictiveFO例は出生当日のBASを準備。治療適応なしと判断:最重症型横隔膜ヘルニア合併例とPSR+TR例。出生当日治療介入例:H群3(ASD作製+bilPAB,BAS,心房内隔壁除去+bilPAB)、I群1(TAPVCrepair)、S群1(BAS)。経過観察期間:0日~4年2か月。TCPC到達:H群1、I群1(待機2)、S群6(待機7)。生存例:H群2(33%)、I群4(80%)、S群17(94%)【結語】リスク群層別化で治療計画を明確化することにより、I群H群の生存率向上を目指している。I群の治療成績は比較的満足できるものであるが、H群は治療適応自体が問題となる例も含まれるため未だ生存率は低い。だが、計画的治療による長期生存例もあり、今後もチームとして治療の向上を目指したい。