3:35 PM - 4:25 PM
[II-OR201-03] 当院におけるTCPS術後Fontan手術成績の検討
Keywords:total cavopulmonary shunt 、Fontan、下大静脈欠損
【目的】下大静脈欠損及び奇静脈結合を伴う単心室症に対する姑息的手術としてtotal cavopulmonary shunt (TCPS) が施行される。当院でのTCPS術後のFontan手術の成績について検討した。【対象】1994年以降当院で行ったTCPS 31例のうち遠隔期死亡を1例認め、Fontan手術に到達した27例を対象とした。23例はleft isomerism、4例はright isomerismであった。合併疾患は両側上大静脈15例、肺動脈狭窄12例、肺動脈閉鎖7例、総肺静脈還流異常3例であった。Fontan手術時年齢中央値3.2 (1.7-8.7) 歳、体重12.2 (9.0-18.3) kg、TCPSからFontan手術までの期間は21 (7-41)ヶ月であった。Fontan手術は心外導管法25例(導管14mm: 1, 16mm: 22, 18mm: 2)、心内導管法1例 (導管16mm)、心房内側方トンネル法1例であった。Fontan手術完成までの併用手術は肺動脈形成13例、房室弁形成11例、肺動脈絞扼11例、シャント7例、心房中隔欠損拡大4例、肝静脈統合4例、総肺静脈還流異常根治3例、Norwood 3例、DKS2例、ペースメーカー植込3例、その他2例であった。Fontan術後観察期間は中央値8.4 (最長21.7) 年であった。【結果】Fontan術後在院死亡と遠隔期死亡はなかった。術後抜管直後SpO2は96.9±5.1 %、ドレーン留置期間は6.3±3.7日であった。術後1.3年のカテーテル検査で平均肺動脈圧10.3±3.2 mmHg、動脈血酸素飽和度93.6±3.0 %、Nakata index 279±86 mm2/m2であった。術前に肺動静脈瘻(PAVM)を合併した6例中4例はFontan術後改善を認め、PAVMが残存した2例のうち1例は術後4.7年で再Fontan手術 (re-direction) を行い改善した。術後遠隔期にPAVMの新規発生を2例認め、両側上大静脈症例であった。術後合併症は不整脈8例(洞不全症候群: 7、房室接合部異所性頻拍:1)、脳梗塞1例であった。【結論】TCPS後のFontan手術成績は良好であった。術前からのPAVMの早期消失が認められた。術後も不整脈発生や房室弁機能の経過観察が必要である。